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キャラメル味の恋と幸せ

葵居ゆゆ / 著
古澤エノ / イラスト
ISBNコード 978-4-86669-455-9
サイズ 文庫本
ページ数 312ページ
定価 836円(税込)
発売日 2021/12/17

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内容紹介

たった一人、私がはじめて愛する人
手作りのキャラメルタフィーを売って生活を営むリスの獣人・マウロ。贅沢はできないが、とある罪で背中に焼印を押され、故郷を追われた身としては十分だった。あるとき‶貴族のジャック〟に気に入られ屋敷に呼ばれるようになる。「人を愛せるようになりたい。きみがそばにいてくれたら、わかる気がするんだよ」そう言われるが、自分でいいのだろうか? 一方街では、冷酷と噂の‶ジルド王子〟の妃を選ぶ舞踏会が近づいて…。孤独な王子×ひたむきリス、救いのビタースイートラブ!
★初回限定★
特別SSペーパー封入!!

人物紹介

マウロ

18歳のリスの獣人。手作りのキャラメルタフィーを売って生活している。

ジャック

26歳の青年貴族。マウロを気に入りそばに置くようになる。

立ち読み

「誰よりも私のことを大切に思ってほしいんだ。恋をして、私と離れたくないと思ってほしい。もちろん、マウロが私を好きになってくれるように、私も努力する」
 わかるかな、と言いながら、ジャックはつないだ手を持ち上げた。握り直して、うやうやしく指先に口づけてくる。
「きみと愛しあってみたい」
「……愛しあう……」
 腑に落ちないまま繰り返して、マウロはじわっと赤くなった。ジャックの口調は熱心で、なんだかマウロのことを愛しているみたいに聞こえる。熱っぽく甘い声のせいで、耳がくすぐったいときのようにぷるぷるした。
 妹のかわりのはずなのに愛しあうなんて、と考えて、そうか、と思い当たった。
(妹が兄を愛するみたいに、してほしいんだよね)
 それなら納得だと頷きかけ、マウロは再び首をかしげた。
「あの……えっと、でも、身体も重ねる、んですよね? 娼婦と客みたいに」
「違うよ、恋人として、だよ。——いや?」
 ちゅ、と人差し指の先を吸って、ジャックは上目遣いに見つめてくる。淡く光を帯びた金色の瞳はもの言いたげで、心臓がとくんと跳ねた。——改めて、ずいぶん綺麗な人だ。髪も顔の造形も神秘的な雰囲気で、視線ひとつでさえこんなにも美しい。
 きっと妹も美しい人だったのだろう。あまりに美しくて、兄妹なのに恋をしてしまったとか。普通ならあり得ない、世間的にも許されないことだろうけれど、もう亡くなってしまった人が相手だし、マウロには咎める権利もない。結局、小さく頷いた。
「僕でよければ、頑張ります」
「頑張らなくていいんだよ、マウロ」
 わずかに寂しげに、ジャックが微笑んだ。
「ただ普通に過ごしてくれればいい。努力するのは私のほうなんだからね」
「ジャック様が?」
「そうだよ。今は閉じているマウロの心が、キャラメルみたいに甘くとろけるように」
 ジャックは唇を近づけた。ごくかるくマウロの唇を吸い、頬を手のひらで包み込む。窺うように優しく舌が唇のあいだに挟まって、マウロは控えめに口を開けた。
 自分の心が閉じているとは思わない。普通にしているつもりだけれど、溶かしたいと言われるのは嬉しい気がした。初めて出会ったときよりも、ジャックが自分のことを気に入ってくれているのだろう。
(そばにいてって言ってくれるの、ジャック様だけだ)
 憐れみや親切を受け取るわけにはいかないと思うのに、ジャックの頼みは断りたくなかった。触れられればその分ジャックの孤独を癒せていると感じるし、キスされればマウロも嬉しい。
 ジャックにとっては身体を重ねる行為も、大勢としてきたことだろうけれど、嫌いな相手とは、こんなふうにキスしたりしないはずだ。
(貴族様だもの、獣人の僕なんか、本気で愛してくださるわけないけど……でも)
 ほんの少しでも好かれている、と思うと胸から腰までが甘く痺れる。口の中に差し込まれた舌は丹念に歯を舐めてきて、歯茎に触れる熱さが沁みた。
 ぬるぬる舐められるなんて不快でもおかしくないのに、ジャックの舌は気持ちいい。ふるっと震えると、逃がさない、というようにジャックが身体を押しつけてくる。硬くて重い感触に、眼裏が桃色を帯びた。
「——ん、……っふ、……は、……ぅ」
 ジャックはときおり唇を離してマウロを見つめつつ、飽きずに何度も重ねてくる。指先が胸を探り、小さな突起をひっかくように刺激した。
「……っぁ、……んぅ、……っぁ、……は、ぁっ」
 かりかりといじられるたびに、むず痒いみたいに胸が疼く。鈍い痛みが胸の奥に生まれ、それが下半身に響いて、マウロは閉じていた目を開けた。
「っ、ジャックさま、……ん、……ぁ、い、いた、……あ、あッ」
「乳首が痛む?」
「はい……っ、む、胸のなか、も……いたくて、……ん、んっ」
「でも、気持ちもいいだろう? 勃ってきた」
 ジャックは腰を押しつけた。ごり、と硬いものがマウロの性器に当たり、かっと身体が熱くなる。
「ぁ……っ、ふ、……ぁっ」
「ね? マウロのペニス、もう硬くなってる」
 休みなく乳首をいじりつつ、ジャックは腰を使って性器も刺激してくる。マウロの下着とジャックの服を通しても、彼の分身の熱ははっきりと感じられ、同時に自分も弾けそうなほど昂っていることがわかって、視界がちかちかした。
「だめ……っ、こ、こすったら、……出、ちゃう、っ」
「いいよ。たくさん達くといい」
「……ッぁ、……んぅ……っ」
 きゅっと乳首をつままれるのと同時に、舌が口の奥まで入り込んだ。ぞろりと上顎をなぞられて、くすぐったい快感が喉を伝う。続けて舐められれば身体がくねり、マウロは無意識のうちに自分からも腰を押しつけていた。
「……ん、は……ぅっ、ふ、ぁ、……っんん……」
 口の中でくちゅくちゅ音が響く。ジャックは両手を使って胸を可愛がりはじめ、強弱をつけてつまみ出されるごとに意識がぼやけた。
(前より……身体があつい……)
 口の端をたらたらと唾液が伝うのも、全身がひくつくのもとめられない。今にも達しそうで、耐えなければと思うのさえぼんやりと霞み、マウロは小さく腰を動かしながら射精した。
「——ッ、……ん、ふ、……ぁ、……っ」
「マウロは素直でとても可愛いね」
 満足げに、ジャックは鼻先に口づけた。
「なにも言わなくても膝をひらいて、自分で上手にお尻が振れたね。お利口さんだ」
 胸から離れた手が太腿を撫で上げ、マウロはひくんと震えた。指摘されるまで気づかなかったけれど、いつのまにか大きく股がひらき、膝がジャックの身体を挟み込んでいる。
「すみません……僕、みっともない格好を……」
「みっともなくないよ。褒めてあげたじゃないか」
 ジャックは微笑んで寝巻きをたくし上げた。腕と頭を抜かせ、濡れた下着にも手をかける。
「さあ、次は蜜をたくさんこぼして。お尻の中を可愛がってあげる」
「……や、ジャックさま、」
 優しい声で言われるのが恥ずかしい。べったり濡れた性器を見られるだけでも死にそうなのに、ジャックは閉じようとしたマウロの脚を掴むと、そのまま膝を持ち上げた。
「この前は最後までマウロの顔を見られなかったからね。こうやって膝を胸まで上げて、お尻の孔が真上を向くようにすれば、尻尾も下敷きにしないですむ」
 腰の下に枕を入れ、裏腿を押さえて腰を上げる格好を保たせたまま、ジャックは優しい眼差しでマウロの身体を眺めた。
「この体勢なら、きみの全部が見えてとてもいいな。顔も、胸も、可愛い孔も性器も、耳も尻尾も」
「っあ、あんまり、見ないでください」
 マウロは思わず尻尾を振った。ふかふかのそれで剥き出しの股間を隠そうとして、そっと掴まれてしまう。
「だめだよ、おとなしくして。すぐに気持ちよくなって、恥ずかしいのなんて忘れるからね」
 言うなり、彼の顔が伏せられた。熱っぽく濡れたものが嚢に触れ、マウロはわけがわからないまま喉を反らせた。
「——ぁ、……っあ、ジャック、さまっ、……ぁ、あっ」
 舐められたのだ、と悟ったときには、唇のあいだに陰嚢が含み込まれていた。ころころと舌で転がされ、ぴんと張った太腿に震えが走る。
「は……んっ、や、だめです……っそんな、とこ……っ」
「気持ちいいはずだよ。蜜が出てきてる」
 指が性器に這わされると、ひん、と声が漏れた。再び勃起してしまった幹は、さっきよりもべたべたになっている。それを楽しむようにジャックはしごき、指をたっぷり濡らすと今度は窄まりに触れた。両手の指を使って、くにゅくにゅと襞を揉んでくる。
「——ッ、ふ、……ぁ、……ん、……ぁ、……ぁ、あ、」
 中に入れられる、と思うと、竦むようにも溶けるようにも感じた。嚢をしゃぶられるだけでもおかしくなりそうなのに、中の粘膜に触られたら、また弾けてしまう。
「ジャック、さまっ、……ん、い、いき、ますから……っや、ぁっ」
「達ってもらうために愛しているんだから、やめられないよ」
 吐息をこぼして笑い、ジャックは広げた襞の中に指を入れた。閉じた粘膜をかきわけるように、ゆっくりとだが確実に二本の指が挿入される。根本まで埋まると左右に広げられ、びぃん、と全身が痺れた。
「ぁ……ッ、ぁ、……ぁ、あ……ッ」
 くにゅくにゅと揉みながら拡張されるとおなかの中が崩れる錯覚がして、怖いと思った瞬間にマウロは達していた。少ない精液を勢いよく噴いてしまいながら、全身に走る快感につま先を丸める。
「……ッ、は、……ぁ、……ッ、ん……っ」
「ふふ、蜜がとまらないね。精液に続けて、ずーっと垂れているよ」
「ん……っは、……ぅ、……っ」
 何度も腹が痙攣し、噴き出す感覚に身悶える。達し続けているかのようだった。長びく快楽はほとんど苦痛だ。目の焦点もあわないまま震えるマウロに、ジャックは幸せそうな顔をした。
「マウロが中を愛されるのが好きで嬉しいな。たくさんひくひくして、気持ちよさそうだ」
「あっ……、ぅっ、……ん、……は……っ」
 指を動かされるとまた声が出てしまう。ゆっくり抜き差しされ続けると、特にぞくぞくと感じる場所があって、またそこを揉まれたら、と想像するだけでも震えが湧き起こった。これ以上、絶頂の苦しみに翻弄されたくない。けれど——達きたい。
 達って、なにもかも手放して楽になりたい。
「ふ……ッ、ぁ、……ッは、……んっ……」
「そろそろまた達きたくなってきたよね。私を受け入れる前に、もう一回達ってごらん」
「っや……もう、……っは、……ぁ、……あ……っ」
 達したらおかしくなる、と思うと怖くて、マウロはかぶりを振りかけた。瞬間、感じすぎる場所を指で押し上げられ、弓なりに反り返る。
「——ッ、…………っ!」
 ぷしゅ、と蜜が噴き上がった。腹から脳天まで、稲妻めいた衝撃が駆け抜ける。漏らしちゃう、とぞっとした直後には勢いよく透明な汁が撒き散らされ、胸や腹をあたたかく濡らした。
「たくさん出せたね、マウロ」
 うっとりと囁いたジャックが指を抜き、雫をまとった胸に舌を這わせた。ちゅくちゅくと乳首に吸いつかれ、口元が力なく歪む。
「ジャック、さま……ぁ、……ごめ、……な、さ……っ」
「きみが謝ることはなにもないよ。おいしい蜜だ、そんなに泣きそうな顔をしないで」
 ジャックは慰めるようにマウロの頭を撫でると、かるく唇を吸ってくれた。幾度かキスをしたあとで、手早く服を脱ぎ捨てる。
「少し苦しいかもしれないが、このまま受け入れてくれ」
 改めて高く尻を上げる体勢にされ、マウロはジャックが己に手を添えてあてがってくるのをぼんやり見つめた。なめらかな肌が、綺麗に作り上げられた筋肉を覆っている。夜のベッドの上の暗さでよく見えなくても、窄まりに当たる切っ先だけで大きいのだとわかる。
(前も……こんなに、おおきかったっけ……)
 初めてで二度抱かれたときよりも、全身がだるいせいか、ジャックの分身がいっそう太く、逞しく思える。その先端が丁寧に股間にこすりつけられ、マウロのこぼした蜜をまとって、襞の中へともぐり込んできた。
「——ッ、あ、……ぁ、……ぁ…——っ」
 真上から突き刺すように侵入してくる雄は、ひどく重たく感じられた。腹の奥がひきつれたようで、きっとまた痛い、と思ったのに、予想に反して、内側から響いたのは熱と重さ、そして痺れだった。
「ぁ、……は、……んッ、……ぁ、……っ」
「とてもやわらかいよ、マウロ。吸い込まれるみたいに入る」
 見下ろすジャックは舌を伸ばして自分の唇を舐めた。笑みを浮かべた表情は満足げで、瞳は常よりも強く煌めいている。
「見てごらん? 蜜がまた出てきてる。震えているけど、表情もとろけそうだ——気持ちがいいね?」
「————っ、ぁ、……ッァ、あ……あ——っ」


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