書籍詳細
黒竜の寵愛〜異世界で王太子サマと新婚生活〜
ISBNコード | 978-4-86669-170-1 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 754円(税込) |
発売日 | 2018/12/18 |
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内容紹介
人物紹介
藤島 昴
異世界に召喚されて、つがい様と崇められる。
鸞(ラン)
龍蘭国の第二王子で王太子。昴を大切にしている。
立ち読み
大学生だった藤島昴は、ある日突然、異世界に飛ばされた。
行った先の龍蘭国は、黒竜の血を引く王族が治めている。
それほど大きな国ではないが、ときおり黒竜の血が強く出て竜に変身できる覇王が生まれることで、周辺国から恐れられていた。
竜の血は強大な力を宿し、ときに人間では制御できないほど荒ぶることがある。それを抑える役目を担うのがつがいだった。
つがいのいない黒竜が狂うのは、歴史が証明している。
敵対勢力は偽のつがいをあてがうことで、当代の黒竜である王太子の鸞をおかしくさせようと謀り、たまたま運悪くその場所に居合わせた昴を、この世界に呼び込んだのだ。
彼らは鸞を廃し、兄王子の漣を後継者に据えたいと考えていた。
本来のつがいではなかった昴だが、紆余曲折を経て鸞と心を通わせて愛し合うようになり、真のつがいとなった。
危機を乗り越えた二人は、この世界で共に生きていくことを誓い合った。
昨日、昴は二十一歳の誕生日を迎えた。
神殿長、そして王太子鸞のつがいである昴の生誕を祝って大々的な祝宴が催され、延々と挨拶を受け続ける羽目になった。結局、用意されたごちそうもたいして口にすることはできなかったし、慣れない気遣いをしてくたくたに疲れ果てた。
誕生日なんて言わなきゃよかったと、何度後悔したことか。昴は異世界で迎える初めての誕生日を、鸞に祝福してほしかっただけなのに、鸞に話していたときたまたま小姓の由が居合わせたのが失敗だった。
由から女官長の琳に、琳からさらにその上にと伝言ゲームのように伝わる間に話が大きくなり、王と王妃の主催で国を挙げての祝宴になってしまったのだ。
周囲に知られなければ、月や星の見えるバルコニーで二人きり、ロマンチックに過ごせたはずなのに。
宴が果てて部屋に戻ったときはすでに半分眠っていたようで、琳と由の手を借りて正装を脱ぐと同時にそのままベッドに倒れ込んで寝たらしい。自分のベッドからいつ鸞のベッドに移ったのか、鸞がいつ横に入ってきたのか、全く覚えていない。
明け方の冷気でふと目が覚めてもぞもぞと身動ぐと、頭上から「寒いのか」と眠たげな声がして抱き寄せられた。温かい。息を吐いて逞しい身体に寄り添った。
昴も山歩きが趣味だったからそれなりに身体は鍛えていたが、鸞にはとてもかなわない。すっぽりと抱き締められて、守られていると感じた。
ふわふわと意識が漂うまま、昴はこれまでのことを脳裏に蘇らせる。いきなり異世界に放り込まれて大変な目に遭ったが、同時に鸞という伴侶を得ることができた。プラスマイナスでいえば、大幅にプラスの方に振れると思う。
日本での生活に未練がないわけではないが、行きたければいつでも連れていってくれると鸞には言われた。現に何度か様子を見に行って、両親には登りたい山ができたと連絡し、大学には取りあえず休学届を出してもらっている。呆れてはいるが、昴らしいと心配はしていないらしい。
そもそも大学を卒業すれば自立して家を出ることになったはずだから、それが少し早めになったと思えばいいわけだ。
幸せだと感じて無意識に鸞の胸に頭を擦りつけると、鸞の手が優しく背中を撫でてくれる。
「どうした」
寝起きの掠れ声だ。昴は微笑しながら首を伸ばして鸞の?に口づけた。
「うん、昨日はせっかくの誕生日だったのに、ろくにキスもできなかったと思って」
「そうか、俺もだ」
無念だったと言いながら、鸞の指が昴の顎を持ち上げる。今度は互いの意志で唇が触れ合った。ちゅっと音を立てて離れていくそれを追いかけたのは、昴の方だ。だから戻ってきた鸞の唇にディープなキスを仕掛けられても、自己責任。濃厚なキスで身体が目覚めてしまったのも、自業自得。とはいえ嫌なわけではないから、うっとりと甘い吐息を零しながら応じた。
目を開けると、欲情し炎を宿す黒瞳に捕らえられた。覗き込まれ、いいかと尋ねられる。頷いたときは、二人ともすでに熱く昂っていた。
腰を押しつけ合うと、硬く育った昂りがぐりっと触れて快感が広がる。すぐに先走りも滲み始めて、男の性は明瞭だと苦笑する。
「何を笑っている」
見咎めた鸞が覗き込んできた。その首に手を回して引き寄せながら、昴はにっこりと微笑む。
「僕はいつだって鸞に餓えていると思って」
伸び上がるようにして口づけをせがんだ。すぐに望みを叶えながら、鸞がまだ不審そうな顔をしている。
「好きな相手に触れたらすぐに欲情する自分が、簡単過ぎると思ったんだよ」
「そうなのか? 俺もおまえと一緒ですぐに欲情するが、当然だろう? 好きな相手に触れて欲情しない方がおかしい」
昴の顔を撫でながら、鸞が告げる。
「愛している。俺に発情してくれ」
深い想いを込めた声が、真っ直ぐに心の奥深くまで届いた。
「うん、そうだね。僕がどれだけ鸞を欲しがっても、好きなんだから当たり前」
「そのとおりだ。昨日のやり直しをしよう」
唇を寄せられて、自分から口を開いて迎え入れた。舌を絡ませる。甘い。はふっと満足そうに息を吐くと、鸞の瞳がきらりと光る。欲を孕んだ獣のまなざしにぞくぞくした。
鸞の手が項に触れ、鎖骨の辺りをさまよい、夜着を捲って胸に触れる。
唇が後を追ってきて、あちこち強く吸引された。辿り着いた乳首も、ちゅくちゅくと吸われやんわりと歯を立てられる。背筋を何度も快感が上下し、声が出た。
「あ、あ……、ああん、あ……っ」
頭の中がぼうっと白く濁る。昂りからはひっきりなしに先走りが溢れていた。
片方を唇で、もう片方を指で愛撫される。両方の乳首を同時に攻められた昴が堪らず腰を揺らすと、快感が腰の奥に集積して、張りつめた昂りを切なくさせる。
気がついた鸞がいったん顔を上げてにやりと笑う。
「ここよりもそっちか?」
するっと身体をずらし、昴のモノをすっぽり口に含んだ。
強く吸われた昴は、腰をせり上げる。
「ああっ」
「待て、早すぎるだろ」
あっけなくイきかけたところを、鸞に止められた。根元をきっちり押さえられ、逆流してきた快感に喘ぐ。
「……っ、イきたい、イかせて」
身体の欲求に急かされて、鸞の腕を掴んで揺すった。根元を圧迫した指を外そうと引っ張るが、外せない。
「もう少し、頑張れ。おまえの中でイきたいから、な?」
甘やかすように告げられたら、我慢するしかなかった。
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