書籍詳細
野良猫とカサブランカ
ISBNコード | 978-4-86457-089-3 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 651円(税込) |
発売日 | 2014/10/17 |
発売 | ジュリアンパブリッシング |
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内容紹介
人物紹介
仲井 律
ライヴハウスでバーテンダーをしている。
母親に似た顔にコンプレックスを抱いており、無愛想で生意気。
須田 隆利
キャリア崩れの所轄の刑事。
傲慢な態度で、初対面から律を挑発しからかう。
立ち読み
「大人のテクってやつを、見せてやるよ」
須田はそう言うなり、自分のと律のを同時に握り込んで愛撫を始めた。
「——っ、……ぁ……っ、あっ、……っ、——アッ」
須田の巧みな指に嬲られ、律の先端からは透明な蜜が次々と溢れ出した。須田はそれをさらに指で塗り込めるようにし、律の指ごと屹立を弄ぶ。
先端のくびれを擦られるたび、須田の手の中の律はヒクヒクとなり、より敏感になっていった。
(俺は、何やってんだ……)
ぼんやりと思うが、それはすぐに須田が注ぎ込む愉悦にかき消され、理性は濁流に呑み込まれたかのように翻弄されるだけだ。
「ぁ……っ、……はぁ……、——ぁ……」
「律、手がおろそかになってるぞ」
「……ぅ、……はぁ……っ、……ぁ、はっ……」
「ほら、見てみろよ。お前の、ギリギリっぽいぞ。もうイッちまうんじゃないか?」
揶揄されてそこに目を遣ると、視覚的な刺激に息を呑んだ。あからさまに変化した二人のそれに、須田と律の指が絡みつき、どちらが誰の指なのか、すぐにはわからない。
律のほうはほとんど動かしていないが、須田がわざと指を愛撫するものだから、あそこだけでなく指まで感じてきて、全身に鳥肌が立つ。
「ん……、……っ、はぁ……っ」
「どうだ? 俺のテクは」
すでに余裕を失っている律をすぐ近くから眺め、笑ってみせる。
魅力的な笑顔だと思った。
須田もほんのりと目許を赤くしているが、律のように余裕を欠いているわけではない。律の反応を見て、この戯れを愉しんでいた。
他人の醜態を眺めて悦ぶなんて、いい性格をしている。
「律。知ってるか。唇の下にホクロがある奴は、食欲が旺盛なんだと。欲張りなんだよ」
「……どういう、意味……っ、——はぁ……っ」
「お前、この口で何を頬張ったんだ?」
親指で唇をなぞられて、無意識に口を開いた。
戯れにそこを軽く押し潰され、いじられると、見られることが恥ずかしくなってくる。視線がこんなにもいやらしく絡みつくものなのかと思いながら、律は次第にそれに晒されることに悦びを覚え、溺れていく。
「答えろよ、律。上のお口で何を咥えたんだ?」
含んだもの言いは、律を「この好き者め」と責めているようだった。悔しいが、こうして責められることに興奮を覚えているのも事実だ。
どうして……、と自分の中に眠る被虐の血が沸き立つのを、ただ手をこまねいて見ていることしかできない。
「言うことが、下品、なんだよ……っ」
「この程度で下品か。可愛いな、律。大人の世界にはな、もっと下品でえげつないセックスがいっぱいあるぞ」
「何が大人……、——ん」
唇の近くにキスをされ、ゾクゾクと背筋に甘い戦慄が走る。須田を握っていた手は完全におろそかになっており、ほとんど添えられているだけだ。
「ぅ……、……ぁ……、……ん」
あんな大見栄を張っておきながら完全にリードを許している事実に、これじゃあいけないと思うが、ひとたび泥濘に足を取られると抜け出すことはできない。
されるがままだ。
「ぁ……、あ、あっ」
押し倒されたかと思うとシャツをたくしあげられ、いきなり胸の突起に舌を這わされた。
「あっ!」
躰が魚のように跳ね、甘い声が漏れる。
須田は、そこを舌全体で舐め回したかと思うと、転がし、尖らせた舌先でつついてみせた。次第に硬くしこってくると、今度は唇で小さな突起をついばみ、いたずらに歯を立てる。
指でもう片方の突起をきつくつまみ、快楽と同時に痛みも植えつけていく須田のやり方は、己の浅ましさを見せつけられるのと同じで、責め苦に悶え悦ぶ躰をいっそう罪深いものにする。
「あぁ……、……っく。……はぁ、ぁあ、んあぁ……」
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