書籍詳細
愛執の褥 〜籠の中の花嫁〜
ISBNコード | 978-4-86457-260-6 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 680円(税込) |
発売日 | 2015/10/19 |
発売 | ジュリアンパブリッシング |
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内容紹介
人物紹介
白河実紗緒
白河伯爵家嫡男。たおやかな美貌の持ち主。
瑕疵を抱えているため、世間から隔絶して育てられた。
景山征爾
景山伯爵家現当主。31歳。
彫りの深い端整な貌に、恵まれた長身。
融資と引き換えに実紗緒を引き取った。
立ち読み
「あっあ…っ」
体の奥から迫り上げてきた熱が激しく爆ぜる感覚があって、頭の中が真っ白になった。壊れたように腰ががくがくと弾んで、なにかが解き放たれる。
「あ……ぁ……」
悪い病気にでもかかったのではないかと怖くなるほど、震えが止まらない。ひどい倦怠感に苛まれながら濡れた睫毛を瞬かせると、顔を上げた景山が口許をハンカチで拭うのが見えた。
なんという粗相をしてしまったのだろう。自分の仕出かした失態に気づくなり、達したばかりの体からすうっと熱が引いた。
「……赦し…て……」
「なにを赦せと? おまえは俺に触れられて、気持ちよくなって射精しただけだ」
危惧したような事態ではなかったようだが、粗相をしたのは確かだ。なによりも、他人に触れられて感じたことが恥ずかしくて、そんなことはないとかぶりを振ってしまう。
「こんなに濡らしておいて、嘘をつくのか」
右脚を掴まれ、膝を胸につける形で折り曲げられる。秘密のすべて——花茎と根元の袋はもちろん、秘唇と慎ましやかに閉じた蕾までもが男の眼下に晒された。
「や…っ」
二本の指で秘唇をくつろげられると、奥からとろりとしたものが溢れた。いったいどうしたのだろう。こんなことは初めてだった。これまでにない自身の変化に、羞恥と困惑が綯い交ぜになる。
「い、いや……こんな……」
「嫌なら、こんなふうになるものか」
「あう…っ」
くちゅっと音がして、花びらのあわいに指が突き立てられた。痛い。傷口を抉られるような痛みに、実紗緒の痩身が硬直する。潤ってはいても未熟な器官はひどく狭く、男の指を一本受け入れることすら容易ではなかった。
「い…や、痛…っ」
引き裂かれる痛みと恐れに、弱音が洩れる。やめてと首を振った拍子に、長い睫毛に引っかかっていた涙の粒がほろりと転がり落ちた。
「これ以上は無理なようだな。こちらのほうは今後、時間をかけてゆっくり慣らしてやろう」
秘裂から指を引き抜かれて、ほっと息をつく。景山の言葉はこの行為が一度限りではないことを匂わせていたが、いまの実紗緒には気づく余裕すらなかった。
「今夜はここを可愛がってやろう」
「……っ」
これで解放されるかと思いきや、双丘の狭間に息づく蕾をまさぐられて驚愕する。いったいどれほどの恥辱を味わわされるのだろう。一瞬にして激しい羞恥が身の裡に湧き返り、景山に逆らってはいけないという自戒が吹き飛んだ。
「嫌だ、もう…やめてください…!」
「聞きわけが悪いな。家族が住む家を失ってもいいのか」
冷徹な声音が落ちてきて、唇を噛み締める。家族と白河家の名誉を守るためには、景山に従うしかないのだ。泥のような絶望に呑み込まれ、抵抗しようとした手がじわじわと力を失った。せめてもの意地で、涙を見せまいと顔を背ける。
背中越しに小さな物音がして、花のような香りがふわりと立ち上った。香油かなにかだろうか。確かめるよりさきに、濡れた指が最奥に伸びてきた。
とろりとしたものを閉じた褶襞に塗りつけられ、全身がぞわりと総毛立つ。敷布をきつく握り締めて、そこを這う指の動きに耐えた。何度も塗りつけられた液体が、双丘の狭間を滴り落ちていく感触がおぞましい。
「体を強ばらせていては、痛い思いをするだけだ。もっと力を抜け」
「……は…っ」
たっぷりと濡れた指が窄まりの中心に押し入ってくる。こちらのほうが柔軟にできているのか、異物感はあるものの、秘唇に挿入されたときほどの痛みはなかった。
付け根まで侵入した指に中をくすぐるようにされて、異様な感覚が背筋を這い上がってくる。ひどく危いそれは、かすかな甘さをも内包していた。
「ふ、く……ぅ」
最奥を小刻みに刺激されて、割り広げられた脚の付け根が引き攣る。同じ調子で、内部の粘膜がざわついた。
「おまえの中が指に絡みついてくる。感じてきたようだな」
「あ…ぁっ」
男の指にまとわりつく粘膜を撹拌された瞬間、明確な快感が背筋を貫いた。腰がびくんっと悶え、自分のものとは思えない声が口から飛び出す。
「どこがいちばん感じるんだ? ここか?」
「やっ……、ひ、う…っ」
内奥のある一点を捏ねられて、なにが起きたのかわからないうちに、さきほど弾けた花茎が躍り上るようにして膨らんでゆく。
「いやらしい奴め。初めてだというのに、尻の中が感じるとは呆れたな」
「ち…が、あっ、あ…っ、いや、そこ…ッ」
否定したいのに、意味をなさない言葉しか出てこなかった。見つけ出された場所を抉られるたびに電気のような刺激が駆け抜けて、体が勝手に反応してしまう。
熱くて苦しくて、でも、気持ちがいい。これが快楽というものなのだろうか。
前方の欲望はすっかり張りつめて、先端の切れ込みから透明な蜜を湧出させている。また粗相をしてしまうのではないかと怖くなった。
「や…やだ、そこ、やめて…っ」
涙を振り零しながらいやいやと首を振ると、弱みをつついていた男の指が動きを止めた。押し包む粘膜が、なにかべつの生きもののように蠢いている。
「どこをどうされるのが嫌なんだ?」
「……そこ、いじるの……、いや……」
もう意地も虚勢も張れず、やめてとか細い声で訴える。声を発しただけで中にある男の指を締めつけてしまい、いっそう強くその存在を意識させられた。
「どうしてだ?」
「やあっ、あ…っ、出ちゃ…う、から…っ」
人の悪い笑みを浮かべた景山が、弱点をぐうっと突き上げる。腰の奥が灼けるような焦燥に駆り立てられて、思わず口走っていた。
「さっき出したばかりなのに、また達きそうなのか。清楚な見かけによらず、淫乱だな」
「あっあ…や、あ…ッ」
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