書籍詳細
ラブ・メロディ —執着の旋律—
ISBNコード | 978-4-908757-38-9 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 713円(税込) |
発売日 | 2016/12/16 |
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内容紹介
人物紹介
杉浦 和音
音楽雑誌『J - hits』の編集者。
ピアニストを目指していたが、左腕の故障でその道を諦めた。
�ト 京介
新進気鋭のサウンドクリエーター。
寡黙な性格とは裏腹に、情熱的な歌声と饒舌な歌詞を紡ぐ。
立ち読み
直後、息苦しさに襲われる。
京介が、うしろから抱き締めてきたのだ。
「京…介っ」
咄嗟に抗おうとしたものの敵わず、大きな手に顎を捕らわれる。覆いかぶさるように降ってきた口づけに、言葉を奪われた。
「……んっ」
荒々しい行動のわけは、わかっている。
和音が、携帯を切っていたからだ。
緋佐子に「連絡させるから」と言われていたのに、自分のほうから連絡がつけられない状況をつくり出してしまっていた。
「京…介、待…ってっ」
なんとか身体を捩って、屈強な肩を必死に押し返す。けれどその手はアッサリ拘束されて、次にフワリと身体が浮いた。
——……っ!?
2LDKの狭いマンションだ。すぐにベッドルームに辿り着いて、パイン材のベッドに放り出された。体勢を立て直す前に、大きな身体が圧しかかってくる。
「京……っ!?」
再び、唇を塞がれた。
すでに馴染んだ唇。この唇がいかに情熱的にこの肌を貪るのか、自分は知っている。
まるで呼応するように、肌が戦慄いた。
心は軋んだ音を立てるのに、肉体は男に貫かれることを望んでいる。男が、この身体を求めてくれることを、嬉しいと感じている。
——なんて浅ましい……っ。
思うのに、気づけば大きな身体に縋っている自分がいた。
「和音……」
熱い唇が、肌を伝い落ちていく。シャツをはだけられ、鎖骨に歯を立てられた。
「……っ、や…ぁ」
甘く掠れた声が零れ落ちる。
心と身体が、バラバラになりそうだった。
「い…や…、きょ…すけ……っ」
弱々しく頭を振って、男の手から逃れようと身を捩る。
「なんで逃げる」
問うているとも責めているとも取れる声色。その声に、和音はビクリと肌を震わせた。逃れようと身悶えていた身体が強張って、力を失う。抵抗を失くした身体に、京介は容赦ない愛撫を降らせはじめた。
「和音……」
欲情を孕んだ熱い声が、和音を追いつめる。
嫌じゃない。
抱かれることは苦痛じゃない。
けれど、今の和音にとって深すぎる想いをぶつけられることは、拷問に等しかった。
和音の弱い場所を知り尽くした指が唇が、色素の薄いやわらかな肌に朱印を散らしていく。
このときばかりは、京介の寡黙さが恨めしかった。
たとえそれが負の感情であったとしても、求める理由を明確にしてくれたなら、自分ももっと感情的になれるのに。喉の奥に痞えたままの苦しさを、素直に吐き出すことができるかもしれないのに。
「あ、あ——……っ」
京介の手に嬲られて、淡い色の欲望が弾ける。
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