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予言の乙女は大公の従者になって魔境に潜伏中です

日車メレ / 著
深山キリ / イラスト
ISBNコード 978-4-86669-422-1
定価 1,320円(税込)
発売日 2021/08/27
ジャンル フェアリーキスピンク

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内容紹介

《少年認定されたので、予言の乙女ではなく従者として誠心誠意お仕えします!》
拾ってくれたのは、運命の相手じゃなくて訳あり大公様!?
勘違いと嘘からはじまる、ほのぼの&あまあま従者ライフ♡
〝予言の乙女〟として召喚された里央は、「不法侵入した少年」と間違えられ、王太子に剣を向けられてしまう。間一髪、助けに入ったのは魔境を治める大公ローランドだった。人のよさそうな彼に頼み込み、里央は正体を隠したまま従者になったが……「おいで。男同士、遠慮なんて必要ない」ご主人様の距離が近すぎます! 里央がこっそり〝予言の乙女〟の能力を使いながら魔境でスローライフを送る一方、王都では乙女が現れないと大騒ぎになっていて!?
「リオ……私たちが結ばれたのは運命ではない。だからこそ、君をずっと大切にすると誓うよ」

立ち読み

「もう食事は終わったの?」
「はい、今ちょうど終わりました。……おかわりの飲み物を注文しようかと考えていたところです」
「それなら、よかった。モイラ、将軍……すまないがリオを借りていくよ」
「ちょ……ちょっと! 大公……、ずるいですわ」
 ローランドが里央の腕を引っ張って連れていこうとする。するとモイラが反対の腕を摑んでそれを食い止めた。
「昨日将軍が提出した今後の基本守備計画なんだけど、モイラは目を通した?」
 ローランドは突然真面目な顔でモイラに問いかける。
「ええ、もちろんですわ」
「正式な協議の場ではそれぞれの立場が邪魔をして忌憚のない意見は出てこないものだ。この機会に魔法使いとしての意見を言ってみたら? あとで報告して」
 モイラは、ギルモアと話をしろと言われたことに動揺したのだろう。彼女が油断している隙にローランドが里央を連れ去った。
 言葉の上っ面だけを捉えると、プライベートな時間に非公式会議をさせる横暴な大公である。けれど、本当は二人に対するお節介をしているだけに違いない。
 里央は二人がちゃんと会話できますようにと祈りながら、ローランドについていく。
「ご用ってなんですか?」
「……ごめん、噓」
 キラキラしたさわやかな笑顔で、しれっと言ってのける。
「えぇ?」
「そろそろ強制的に二人で会話をさせたほうがいいんじゃないかと思って。それともう一つ……」
「もう一つ? もしかして虫ですか?」
 職務時間外の里央をわざわざ呼びつける理由は、それしか思い当たらない。
「いや、違うよ。……ただ、おいしいお茶が飲みたいだけ。あの二人ばかり君を独占してずるいだろう?」
 私的な時間も一緒に過ごしたいと言われているようで、里央はドキリとした。
 けれど、よく考えると、生真面目な彼が従者の休みを奪うのはおかしい。本当に紅茶が飲みたいだけだとしたら、ローランドの疲労が限界に達しているということだ。
 一見、平穏な日々が続く魔境だが、今後なにが起こるかわからない。この地を守る責任者である彼が精神的な負担を一人で背負っているのは里央も知っていた。
「わかりました! じゃあ早く、砦に戻りましょう」
 紅茶一杯で彼が癒やされるのなら、里央としてはお安いご用だった。そんなふうに頼ってくれるのは嬉しかった。
「そんなに急ぐと転んでしまうよ」
 急いだら転ぶ――里央はその言葉を聞いた瞬間に、森蘭丸の逸話を思い出す。
 山盛りのみかんを運んでいた蘭丸は、信長からそんなに一気に運ぶと転んでしまうぞと忠告された。そして蘭丸は信長の予想を覆さないために、わざとつまずき、みかんを落とすのだ。
(ご主人様が転んでしまうと言ったなら、転ぶのが礼儀……! ご主人様の予想を覆してはいけないんだった)
 ちょうど砦の入り口手前にある低めの階段までやってきた。里央は不自然な動きにならないように注意しながら、わざとつまずいた。
「……あっ!」
 驚いたのは、うまくつまずこうとしたのに、ローランドの手が伸びてきて里央の行動を阻んだからだ。
「ほら、言っただろう。怪我はない? 運んであげようか?」
 ローランドはあきれた様子だが、どこか嬉しそうでもあった。
 もちろん里央には怪我などない。転ぶ前にローランドが支えてくれたのだから誰にでもわかるはず。けれど彼は、里央を抱き上げて、そのまま運ぼうとする。
 慌てた里央は身じろぎをして逃れようとした。
「い……いえ。あの、ごめんなさい……違うんです……」
「なにが違うんだ?」
「転んだのはわざとです」
「……は?」
「わざと転んだんです! ……前にもお話しした信長と蘭丸の逸話です」
 里央はみかんを運ぶ森蘭丸の逸話をかいつまんでローランドに聞かせた。
「つまり、君は私の予想を裏切らない……と。……なるほど……なら、私は砦の階段でもまた君が転ぶかもしれないと予想した。だからこのままでいいってことだ!」
 そう言い切って、ローランドは里央が抵抗してはいけない立場だと主張する。ローランドは相変わらずの笑顔だが、里央が困っていることは絶対にわかっているだろう。もし里央が本当に少年だったら、お姫様抱っこで運ばれるなんてひどい嫌がらせだ。
「意地悪ですよ。……心配させた仕返しですか?」
「どうかな?」
 真っ赤になった顔を怒ったふりをしてごまかす。やはり最近のローランドは変だった。里央に対し優しいのは最初からだ。けれど、女性の部分の里央が困惑するような行動が増えた。里央はそのたびにドキドキして、モイラから忠告されている「女性の顔」になっていないかと不安になる。
 従者として頼られるのなら、どんな希望でも叶えたいと思う里央だ。けれど今の状況は、なんだか違う気がするのだ。
 誰かに見られてしまわないか不安になり、心臓が爆ぜそうなくらいうるさくなった。結局彼は、部屋の扉の前まで、里央を下ろさなかった。
 ようやく解放された里央は、キッチンに逃げ込んだ。彼から離れ、紅茶をいれることでなんとか落ち着きを取り戻す。
 紅茶と焼き菓子をトレイに載せてメインルームに向かう。紅茶を置くと、ローランドに促され、彼の隣に座った。
「ありがとう、これが飲みたかったんだ」
 里央が用意したのはミルクティーで、ハチミツをたっぷり入れるのが彼のお気に入りらしい。添えられた焼き菓子はバターとナッツがたっぷり練り込まれているもので、フィナンシェに似ている。
(今なら渡せそうな気がする)
 フィナンシェ風の焼き菓子を一つ食べ終えてから、里央はさっそく買ったばかりの贈り物をローランドに渡そうと決意する。
「ローランド様……、その……私……! はじめてのお給金でお世話になった方に贈り物をしたいと思ったんです」
「それって、私のことだろうか?」
「もちろんです。ローランド様は命の恩人で、あなたがいなければ私はこの国では暮らしていけなかった。いつもありがとうございます」
 里央は包んでもらった小さな箱をローランドに差し出した。
「私個人に贈り物なんていつぶりだろう。嬉しいよ、リオ。……中身はなんだろう?」
 ローランドは破らないよう慎重な手つきで包装紙を取り払い、贈り物のペンを取り出した。
「ペンです。いくつあっても困らないと思って」
「綺麗な色だし、持ちやすそう。大切にするよ、ありがとう」
「はい、これからも……よろしくお願いします」
 ローランドの笑顔は素敵だった。贈り物に喜んでくれたことが嬉しくて、里央まで笑顔になれた。
「リオ……、少し目を閉じていてくれないか?」
 急に真剣なまなざしを向けられた。紫の瞳がすぐそばまで近づいてくると、魅入られて、逸らせなくなった。
「なんですか、急に?」
「いいから、閉じて。これは命令」
 命令という言葉を彼が使うのははじめてではないだろうか。里央は素直に従い、ギュッと目を閉じた。ゴソゴソという音のあと、ローランドが里央の服に触れた。
 ベストの胸のあたりだろうか。魔境での生活をはじめてからはできるだけさらしを巻くようにしているのだが、女性だとわかってしまう部分に触れられたら困ってしまう。
 けれど少年の反応としてはそれくらいで動揺するのはおかしい。性別がバレてしまわないかドキドキしながら、里央はひたすらじっとしていた。
「できた! もういいよ」
 そっと目を開けて胸元を見ると、そこには宝石のついたブローチが光っていた。
「銀細工……。翼のモチーフ……素敵です! これを私に?」
 片翼のシンプルなデザインだが、緻密な細工がされている。おそらく、町で売っているものではなく、ローランドの持ち物の一つだろう。
 銀細工はローランドの髪の色と同じだ。彼の一部を分け与えられたような気持ちだった。
「従者の証として、主人が持ち物の一つを与えるのはこの国では一般的なんだ」
「従者の証……」
 里央はブローチにそっと触れてみた。ひんやりとした金属は、わずかな時間で指先と同じ温度になる。これ以上ないくらい嬉しい贈り物のはずだった。
 里央はずっとローランドとこうして暮らしていきたいと願っているのだから。
 けれど、このブローチは受け取っていいものなのだろうか。里央はローランドに二つの隠し事をしているのだ。一つは、性別が女性だということ。もう一つは異国ではなく、異世界から来たということ。
「どうしたんだ?」
「私、こんなに素敵な贈り物をもらう権利なんて、本当はないのかもしれない……」
 気がつけば、里央の頰に涙が伝っていた。胸元にあるブローチにしょっぱい水滴がかかってしまう。もらったばかりのブローチを汚すのが嫌で、袖口で涙を拭う。いくら拭っても、次から次へと溢れ出す涙に、里央は途方に暮れた。
 贈り物をもらう権利がないと口にしながら、ブローチをはずそうとはしなかった。
「なにを言っているんだ? 君は一生懸命頑張っているじゃないか。言っただろう? 怪我が治ってもずっと従者でいてほしいって」
 優しく諭すような声だった。けれど、それは偽りの姿の里央に向けられた言葉だ。
「ずっと、ここにいたいんです。……ずっとローランド様の従者でいたいのに……」
 それが叶うならばどんなに幸せだろうか。
「いればいい。……ずっと私のそばにいればいい」
 彼の言葉は魔法みたいに里央の心の中にスーと入り込み、油断するとそれに甘えてしまいそうになる。
「でも、私は!」
 宝剣の所有者などいなくても、一人で――いいや、ローランドや砦の人々と一緒に――この魔境を守っていける。里央はそう信じていた。綻びを直して、魔獣を退治して、ローランドに仕えてのんびり暮らしていけると思っていた。
 けれど、いつかはクラレンスのもとへ行かなければならない。儀式をしなければ百年の安寧は訪れない。今はよくても、十年、二十年先を里央は保証してあげられない。
 望んでこの世界にやってきたわけではないとしても、ローランドの守りたいものを守りたい。親しくしてくれたモイラやギルモア……町の人々を不幸にはしたくない。
 これ以上、知っていることを告げずにいるのはもう無理だった。里央はきちんと正体を彼に告げるときがきたのだと悟った。黙っていることで予測できない事態が起こったら、そのときローランドが犠牲になったら……そんなことは耐えられない。
「私、本当は……」
 里央に必要なのはきっかけだった。たとえ望まぬ未来が待ち受けているとしても、一歩踏み出す勇気がなかった。あと少し、もう少しとずるずる隠し事をしたまま逃げ続けていたのだ。
 今、言わなければ――そう強く思った。
「いいんだ!」
 突然の叫びに、里央の言葉は遮られた。
「ローランド様?」
「言わなくていい。君はずっと私のそばにいればいい。クラレンスのところには行かなくていい……そういう意味で言っているんだ!」
 めったに声を荒らげることのないローランドが、強い口調で決定的な言葉を口にした。ローランドは本当に、里央がどういう存在なのかをわかっている。
「あ、あの……私……」
 知っていたのに、黙っていてくれたのはなぜなのか。里央は混乱して、どうしていいのかわからなくなってしまった。
「ごめん、リオ。従者の証というのは噓だ。ただ、君になにかを贈りたかった。綺麗なアクセサリーなら喜ぶと思ったんだ。君にドレスを着せるわけにはいかないから」
 隠し事をしていた里央よりも、ローランドのほうがずっと苦しそうだった。
「……ご、……めんなさい……大事なことを黙っていて……」
「謝らないで……。気づいていたのに言わなかったのは私も一緒だ。……なぜだかわかるか?」
「わかりません。だってローランド様は〝予言の乙女〟を待ちわびていたでしょう?」
 魔境を守るローランドなら、一刻も早い儀式を望むはずだった。
 王族としてもシャイヴスの領主としても、里央の正体に気づいていたなら、すぐに都へ行けと命じなければおかしい。
「でも今は、君が乙女でなければいいと思っている。取り消せる方法があるのなら、クラレンスが諦めてくれる方法があるのなら……つい、そう考えてしまう」
「ローランド様?」
「失望したか? ……王族として正しくない行動をしたのはきっと、君のことだけだ」
 里央の心を占めているのは安堵だった。ローランドは〝予言の乙女〟を見ていない。ちゃんと里央を見てくれている。そう思えたからだ。
「君が愛おしいんだ……。働き者で、コロコロと表情を変えて……お人好しな君が。おやすみという言葉が特別だと教えてくれた君が……」
 ローランドが里央を好きだと言ってくれた。予言書に記された乙女だからとか、綻びを直す力を持っているからとか、そんな理由ではなかった。日常の何気ない仕草や行動に惹かれると言ってくれた。
「私も……ローランド様が好き……大好きなの……」
 里央も同じだった。王族だとか、大公だとか――そんなことはどうでもよかった。
 責任感が強くて、庇っても仕方がないあやしい異国の少年を放っておけなかった人。背負わなくていいものまで背負い、いつも損ばかりしている。けれど堂々としていて、里央には弱い部分も見せてくれる。そんな人だから好きになった。
「リオ……」
 ローランドの腕が伸びてきて小さな身体を抱き寄せた。そうされるだけで心臓がギュッと萎縮したような感覚になる。胸が痛いのに、不快ではない。
 里央はモゾモゾと身じろぎをして彼の広い背中に手を回し、抱きしめ返した。彼の胸に閉じ込められている状況はドキドキするばかりで少しの安らぎも得られなかった。それでも、ずっとこのままでいたいと思える里央の居場所だった。
 やがてローランドがわずかに腕の力を緩めた。もうこの幸福なひとときは終わってしまうのだろうか。そう感じるだけでせつなくなる。けれどそうではなかった。ローランドの手が里央の頰に添えられた。
 驚いて彼の表情をうかがうと、これで終わりたくないという彼の意思がはっきりと読み取れる。
 紫の澄んだ瞳は熱をはらんでいて、続きを望んでいた。
 濡れた頰がゆっくり撫でられる。里央が瞳を閉じるとそのうちに唇が重なった。
 二人ともキスが下手なのだろう。油断すると歯がぶつかってしまう。そのたびにローランドが唇を離し、わずかに角度を変えて再び触れてくる。回数を重ねると、慣れてきてより夢中になっていく。
 息が苦しくなり、里央が離れようとすればローランドがそれを許さなかった。彼のほうから離れると、それだけでさびしくなり、里央は必死に追いすがる。これではいつまで経っても終わらない。
 キスはだんだんと激しくなり、ローランドが里央の口内に舌を差し入れてきた。柔らかく敏感な場所をまさぐられると、途端に里央の身体から力が抜けた。カクン、と倒れそうになってもまだ終わらない。いつの間にかソファに寝かされていた。
 クッションに頭を預けると、里央にはもう逃げ場がなかった。ローランドが覆い被さってきてより深い繫がりを求めた。
「……んっ、んん」
 唇が腫れぼったくなるほど長い時間、互いの熱を分け合った。それでもまだなにかが足りない。
 もっと彼がほしくてたまらなかった。
「ローランド様……」
 里央はキスの合間に名前を呼んだ。誰とこんなことをしているのか、強く自覚したいからだ。
「君は恋人に敬称をつけるの?」
 ローランドがわずかに顔を上げて、困った顔をする。恋人――その言葉が嬉しくて、里央の瞳からまた涙がこぼれる。
 もう少年のふりをしなくていい……。彼が里央を正しく見てくれていることに安堵したのだ。
「……ローランド、大好き……」
 ためらいがちに呼べば、彼がほほえんでくれる。
「リオ……、リオ……!」
 頰を伝う涙を舐め取りながら、ローランドも名前を呼んでくれる。キスをする場所は唇だけではなかった。頰から耳たぶへ、そして首筋へと移動してくる。
「ん……っ!」
 耳も首筋もこそばゆくて声が漏れる。じっとしているだけなのに身体が熱くて、動悸がした。
 ローランドの息も上がっている。里央はそれをおかしなことだとは思わなかった。もっと夢中になって、今はもう互いの存在以外なにも考えずにいたかった。
 キスの位置がどんどん下のほうへ移動する。それと同時にローランドが里央のシャツに手をかけて、乱していく。
 あらわになった部分に舌が這い、ピリッとするくらいの強さで吸われた。
 やがてシャツも、肌着も、念のため巻いてあったさらしも取り払われてしまう。里央の胸はとくに性別を偽ろうとしたわけでもないのに間違えられるくらいささやかだった。
 本当は見られたくない、手で覆って隠してしまいたい――けれど、それで彼が我に返ってこの行為をやめてしまったらと考えると、できなかった。
「ローランドさ、ま……ローランド……」
 きっとローランドはこのまま先に進みたいのだ。里央もそうだった。いくら二人の想いが同じでも、この先どうなるのかわからないという不安はある。今しているキスも、これからする行為も、もしかしたら本来許されないことなのかもしれない。
 だからこそ、誰にも邪魔をされないこの瞬間を逃したくなかった。
 里央は小さく震えながらローランドの背中に手を回して引き寄せた。言葉で我に返ってしまわないように、やめないでほしいと態度だけで示した。
 ローランドが胸の柔肌にキスを降らせる。そこは耳たぶよりも、首筋よりもさらに敏感だった。
 強めに吸われ、離される。すると花びらのような痕が刻まれた。この身体がローランドのものであるという証のようだった。
「……ぁ、あぁっ」
 胸の先端を口に含まれると強い刺激に耐えられず、身体が跳ねた。最初はただ驚くだけで、それが気持ちいいことなのかすらわからない。けれど丁寧に愛撫が施されていくと、次第に甘ったるいなにかが込み上げてくる。二つの突起が立ち上がり、その片方をローランドが舌先で転がす。もう片方を指でこね回されると、嬌声を抑えるのが難しくなってくる。
 触れられているのは胸だというのに、腰のあたりがとろけてしまいそうだった。
 ローランドはどこか急いていた。里央が慣れる前にどんどん先に進んでしまう。怖いのに、それを口にしたら優しい彼はもう続きをしてくれないかもしれない。
 だから里央は自分の人差し指を嚙んで言葉を封じた。
 ズボンが引きずり下ろされた。里央が身につけているのは飾り気のない男性用の下着だった。それも一緒に脱がされて床の上にバサリと落ちた。


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