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死んでから溺愛されても困ります 長年私を冷遇していたのはあなたですが?

香月航 / 著
桜花舞 / イラスト
ISBNコード 978-4-86669-692-8
定価 1,430円(税込)
発売日 2024/07/29

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内容紹介

その溺愛、今更すぎます。
暗殺された悲劇の花嫁と一途で規格外な王子の逆行×逆転ラブストーリー
第一王子の婚約者フェリシティは結婚式当日「お前は相応しくない」と何者かに命を奪われ、目覚めるとなぜか一年前に戻っていた。これまで妃になる重圧に加えて、婚約者バージルの冷たい態度に耐えていたフェリシティ。殺されるくらいなら婚約解消してやる! そう決意したが……バージルが別れないでくれと懇願&全力で謝罪してきて!? しかも別人級に溺愛してくる彼にフェリシティは困惑MAX。長年冷遇してきたのに、バージルの目的は一体――!?
「俺は、フェリを好きでいることを、もう決して間違えない」

立ち読み

 それからほどなくして招待客の全員が揃い、予定通り茶会が始まった。
 といっても、ホスト側はとてもじゃないが『予定通り』とは言えない心境のはずだ。
 何しろ、予想もしていなかった超大物が、平然と席に座って参加している。最初の挨拶は笑顔が引き攣っており、額にはかすかに汗が光っていた。
(その上、ホストの話を誰も聞いてなさそうだものね)
 参加者の大半は年若い令嬢なので、美貌の王子様に視線を奪われてしまうのは仕方ない。公爵家も、相手がバージルなら諦めもつくと思われる。
 その隣に地味令嬢が鎮座していることは、許せないかもしれないが。
「第一王子殿下、お目にかかれて光栄です!」
「本日はどうしてこちらに?」
 やがて談話ができるようになると、あっという間にバージルの周りに人々が集まってきた。
 交流のための場はある程度の無作法が許されるとはいえ、彼女たちの行動力にはフェリシティも驚きを隠せない。
 当然『茶会』なので、四人掛けのテーブルセットにはきちんと席次が決められていたのだが、若い娘にそんなものはないも同然だ。
 なお、バージルが平然と座っていられるのは、フェリシティの席が一人だけ離れた場所に用意されていたからである。
 単純に嫌がらせなのか、それとも他の令嬢から突っかかられるのを避けるために一人にしたのかは謎だが、同行者がいる今となってはありがたかった。
「まさか、ティンバーレイク公爵家と縁を繫ぐために、ですか?」
「いや、公爵家に何も用はない。俺の大事な婚約者が参加するというから、無理を言って同行させてもらっただけだ」
「そ、そうなのですか」
 バージルは当たり前のようにテーブル上でフェリシティの手を取り、こちらにばかり視線を向けてくる。まるで、この場には二人しかいないとでも言うような態度だ。
 おかげで、バージルの気を惹きたい令嬢たちの嫉妬や苛立ちが募っていくのが、肌でヒシヒシと感じられる。
 フェリシティへ向けられる目もどんどん冷ややかになっていくが、これを見越して参加を決めたのだから、今は耐える一択だ。
(胃の痛い空気だけれど……今のところ、殺意を向けてくる子はいないみたいね)
 話しかけている令嬢たちの顔を一人一人確認しながら、態度を覚えていく。
 幸か不幸か、招待客の厳選で散々煩わされたので、結婚式にいた人物の名前はきっちり頭に残っていた。
(私の控室への入り込みやすさを考えるなら、まずは正規招待客を洗ったほうがいいわよね。この子は違うし……ああ、あの伯爵家はご両親を招待していたはず)
「フェリ、寂しいからこっちを見てくれ」
「え?」
 なんて真剣に考えながら参加者たちを選別していれば、バージルからぐっと手を引かれる。
 崩れそうになった体勢をとっさに正すと、すぐ近くに彼の顔があった。
「何が気になるんだ? 俺にも教えてくれ」
(か、顔が近い!!)
 改めて近くで見ると、彼の整った容貌に眩暈がしそうになる。
 困ったように微笑む表情はとても優しく、黄金の瞳にはフェリシティしか映っていない。犯人の行動を促すための演技とわかっていても、思わず鼓動が跳ね上がってしまった。
「殿下、お顔が近いです……」
「そうか? 俺はずっと、フェリだけ見ていられたら幸せなのに」
「お戯れを」
 もともと仲がよかったならまだしも、婚約者扱いされるようになってからまだ一月も経っていないのだ。耐性のないフェリシティには刺激が強すぎる。
「あの、殿下とホールデン様は、仲がよろしいのですね……」
 見かねたのか、それとも邪魔をしたかったのか。
 割り込むようにかけられた言葉に、フェリシティは慌てて顔を上げた。
 当然彼女たちだって、今日までのバージルの素っ気ない態度を知っている。
 それが急に見せつけるように仲よくしていることに、違和感を覚えても不思議ではなかった。
「これまでのことは、全て臆病な俺が悪かった。フェリに非は一切ない」
 そんな彼女たちに返されるのは、バージルの堂々とした声だ。
 宣誓でもするような雰囲気に、周囲で騒いでいた令嬢たちも静まり返ってしまう。
「その上でフェリを妻として迎えるため、今は誠意を示している最中だ。俺はこの先も、彼女以外を選ぶつもりはないからな」
(ええ!?)
 ハキハキとした宣言に、少し離れたところの令嬢が顔を押さえて去るのが見える。
 失恋……もありえる話だが、ひょっとしたら彼女は側室狙いだったのかもしれない。
 この国では基本的に一夫一妻だが、神の直系として血を絶やせない王家に限り、側室を取ることが許されている。
(十年婚約しておいて、素っ気なくされていた私を責めることは容易いでしょうしね)
 だから、『フェリシティをどかして新婚約者に』派の家よりも、より確率の高い『バージルの側室希望』な令嬢のほうが実は多いだろうと予想はしていたのだが。
(こんなに貴族令嬢が多い場所で、私以外はないと宣言してしまわれるなんて!)
 それも、招待された時に伝えた通り、婚約者候補だった令嬢も全員いる状況だ。
 いずれ解消を考えているフェリシティにとっても、これは色んな意味で困ってしまう。
(どうしよう。否定しておきたいけど、婚約者として一緒に来ているのに、そんなことを言えるわけがない)
 その上、バージルは終始、フェリシティしか見えていないような一途な態度を取り続けている。
 こんな彼を拒絶する気も、否定する勇気も、何故か湧いてこなかった。
(まさか私……嬉しいとでも思っているの? どうして……)
「あの、わたくし、失礼いたします」
 最初の一人に続いて、ちらほらと席を外す令嬢たちが増えていく。
 全員が側妃狙いとは言い切れないが、何にしても面倒な事態になったのは間違いない。
「そ、そうです殿下。今日の茶会は、ティンバーレイク公爵家の新しい事業のお祝いも兼ねていたはずです。ぜひ殿下からも、一言何かいただければ……」
「え、ええ! せっかくの機会ですから!」
 公爵家傘下の令嬢による話題転換で、会場にはぎこちない賑やかさが戻ってくる。
 バージルは全く興味がなさそうだが、フェリシティとの婚約について語られるよりは、淡白な返しをされたほうがいいと判断したようだ。
『……では、ホールデン侯爵家に近衛騎士が常駐しているという噂も、本当なのかしら』
『改めて、婚約者を守ろうとしていらっしゃるということ? 何かあったのかもしれないわ』
『でも、なんで今更?』
 一方でバージルの周囲以外からは、ひそひそと話し声が聞こえてくる。
 今更、と疑心を抱く彼女たちには、全くもってフェリシティも同意だ。
(私が結婚式で殺されるなんて事件がなければ、ありえない状況だもの。周りから見たら、気持ち悪くても仕方ないわ)
 それを説明することもできないので、とにかく周囲に細かく気を配って確認する。

 ――次の瞬間。ぞっとするような寒気が、背筋を駆け抜けた。

「……ッ!?」
 こぼれかけた悲鳴を、両手で口を押さえて飲み込む。
 胃がひっくり返りそうな悍ましさ。――フェリシティに向けられた“殺意”だ。
「フェリ」
 即座に席を立ったバージルが、フェリシティを支えるように隣に並ぶ。
 待ち望んだ展開でもあるが、ここで相手がわからなければ意味がない。
(この状況で、一体どこから?)
 集まっている令嬢たちは、バージルの行動を不思議がっているので、彼女たちからではない。
 他の席、給仕に動き回る使用人たち、と視線を動かして――ようやくそれらしいと思えたのは、フェリシティの席からテーブルを三つも挟んだ場所。
 怨嗟のような恐ろしい空気を纏っていたのは、ホストであるアグノラだった。
(遠くて表情まではわからないけれど、この距離でも伝わる怒りってすごいわね)
 腰まである輝く金髪からはオーラのようなものが出ているように見えるし、彼女の周りには人っ子一人なく、あの場所だけ別世界にも感じる。
 所謂、目だけで人を殺せそうな雰囲気だ。
(まさか、本当に私を殺したのはアグノラ様なの……?)
 ティンバーレイク公爵家は当然結婚式の招待客に名を連ねていたし、筆頭候補だったアグノラがフェリシティを恨んでいるのも筋は通る。
(でも……)
「フェリシティ様」
 と、そこまで考えたところで、ぽんと肩を叩かれた。
 ハッとしてふり返ると、こちらを案ずるように微笑む優しげな美女が佇んでいる。
「これは、ジャネット様……すみません、少しぼうっとしていて」
 フェリシティが表情を正して返すと、ジャネットはゆるく首を横に振った。
 まっすぐで艶やかな黒髪に、落ち着いた雰囲気の彼女は、ここティンバーレイク公爵家と社交界で双璧を成すウェズレイ公爵家の令嬢だ。
 反対の隣に立つバージルへ礼をする姿勢も、家格に相応しい品と優雅さがある。
(もちろん、ジャネット様も殿下の婚約者候補の一人だったのだけど)
 ジャネットは婚約者に決まったせいで孤立しがちだったフェリシティにも、よく声をかけてくれた唯一の人物だった。
 常に中央でスポットライトを浴びる華美なアグノラとは違うものの、大人しくも優しさと聡明さで有名なジャネットも、婚約者候補としてかなり期待されていたはずなのに、だ。
「わたくしこそごめんなさい。顔色が悪いから、少し心配になってしまって」
「お気遣いくださりありがとうございます。ちょっと驚いてしまっただけですので」
「……それは、アグノラ様のこと?」
 ジャネットの深緑色の瞳が、フェリシティの見ていた方向を見て、小さく息を吐く。
 あれだけ怒気を撒き散らしていれば、誰でもわかるだろう。
「アグノラ様は激情家だけれど、今日は特にひどいわね。フェリシティ様が殿下とご一緒に参加されたことが、そんなに気に入らないのかしら」
「どうでしょう。もともとあまり好かれていないことは存じておりますが」
 好かれているなら、フェリシティを一人だけの席になど指定しないはずだ。
 ティーセットが二人分しかない席に気づいたジャネットも、もう一度深いため息をこぼした。
「今日はアグノラ様とは距離を取ったほうがいいと思うわ。せっかくの茶会だけれど、帰る選択も考えるべきよ。わたくしも協力するから」
「いや、それは不要だ」
 ジャネットの提案を遮るように、低い声が割り込む。
 二人で顔を向けると、バージルが不機嫌さを隠しもせずにこちらを見つめていた。
「ウェズレイ公爵令嬢、俺のフェリを気遣ってくれたこと、礼を言う」
「俺のって……」
「恐縮です。わたくしなどを覚えていてくださり、ありがとうございます」
 淡々と話すバージルに、ジャネットは気にした様子もなくまた一礼する。
 それが合図とばかりにバージルはフェリシティの手を取り立たせると、一切躊躇うことなく歩き始めた。
「殿下、どちらへ?」
「帰るぞ。ウェズレイ公爵令嬢の言う通りだ。俺の大事な婚約者を、これ以上面倒なやりとりに付き合わせたくない」
(え!? でも、それでは犯人の手がかりは?)
 やっと殺気を受けることに成功(?)したのに、ここで帰ったら成果はゼロだ。
 なんとか足を止めさせようとするものの、バージルのほうが力が強いのでびくともしない。
 結局手を引かれるまま進んでいき、多くの馬車を停めている広場に辿りつく。
 休憩中の御者たちがギョッとするのも気にせずに、バージルはホールデン侯爵家の馬車を見つけるとさっさと乗り込んでしまった。
「あの第一王子殿下? お嬢様? これは一体……」
「休ませてやれなくて悪いが、もう帰るから出してくれるか」
「はっ、か、かしこまりました」
 顔見知りの御者は大慌てで乗り込み、すぐに馬車を動かしてくれる。彼には悪いが、とりあえず帰るまでの仕事は果たしてもらうとしよう。
「殿下、何故急に帰るなんておっしゃったのですか? 茶会はまだ始まったばかりですし、これから手がかりを摑めるかもしれなかったのに」
 成果がないだけでなく、ホストに退席の挨拶をすることもできなかった。
 アグノラの中のフェリシティの印象が、ますます悪くなってしまう。
「すまない。だが、あんな場所にこれ以上フェリを置いておきたくなかった」
「あんな場所って……殺気を向けられたこと以外は、大したことではありませんよ?」
 正直、バージルと婚約してからのフェリシティの扱いとしてはかなりまともだったぐらいだ。
 反面、バージルの立場の強さで無理を通した部分は、思い返すと後々が怖い。
「フェリはいつも、あんな失礼な空気の中にいたのか? 俺の婚約者だと公にしている相手だというのに、よくも無下にできたものだ」
「それは、まあ。でも、敬意を払うべき対象になれなかった私も悪いのでしょうし」
「……いや、俺の態度が悪かったせいなんだな。過去の俺を思い切り殴りたい」
 平然と返したフェリシティを見て、バージルは頭を抱えながら身を縮こまらせた。
 こちらからすれば、本当に今更な話だ。
「もう会場を出てしまいましたし、今日の茶会は失敗ですね」
「重ね重ね、申し訳ない。俺はフェリの足を引っ張ってばかりだ」
「今更です。……あ、すみません」
「……今更かあ」
 大事な第一王子にこんな雑な対応をしていることが知られたら、それこそフェリシティは国から追い出されそうだが、二人きりの時だけなので許してもらおう。
 馬車は相変わらず広くて長い公爵家の敷地内を、規則正しく進んでいく。
「……結局、この短時間では少しの手がかりもなしか」
「確信が持てるものは、残念ながらないですね。殺気を向けてきたアグノラ様とは、もう少しだけでもお話ししたかったのですが」
 帰る間際の恐ろしい様相だったアグノラを思い出し、少し鳥肌が立つ。
 あれだけ怒っている彼女に捕まるのは勇気がいるが、もし犯人に繫がるのなら、せめて話はするべきだったと後悔が募った。
(もし彼女が犯人だとしても、殿下が同行している場で襲ってはこないでしょうし……)
「……あの殺気は、ティンバーレイク公爵令嬢からだったか?」
「え? 違うんでしょうか」
「すぐに消えたせいで、俺もどこからなのか摑めなかったんだが。彼女がフェリに向けていたものは、殺意ではなかったように思う」
「言われてみれば……」
 アグノラがおどろおどろしい雰囲気だったので彼女からだとばかり思っていたが、感じたのは激しい怒りであって、殺意だったかと問われると返答に困る。
 そもそもの話、フェリシティは違いを詳しく語れるような武人でもない。
「ではもしかして、会場内に暗殺者の類が紛れ込んでいたとか?」
「それはないだろう。フェリに気取られている時点で、本職なら失格だ」
「確かに。気取られず仕留めてこその暗殺者ですね」
 だとしたら、やはりフェリシティに殺意を向けたのは、茶会の参加者か使用人なのか。
 思い返してみても、それらしい人物像は浮かんでこない。
「私を嫌っている人は多いでしょうが、怪しい動きをしていた者は特に思い当たりませんね」
「だから、何故フェリが嫌われているのか。しかもそれを、堂々と見せてもいいと思っているのが俺には理解できないな。俺の妻となる女性を軽んじるのも大概にしろ」
「そういう扱いをされていなかったもので……この話は堂々巡りになるのでやめましょう」
 結局、あの短時間で得られた情報では少なすぎる。
 顔を見合わせた二人は、ほぼ同じタイミングで背もたれにぽすんと体を預けた。
(……やっぱり本気で犯人の手がかりを探したいなら、私は一人で行動するべきかしら)
 バージルが同行していると、どうしても皆そちらに集中してしまう上にボロを出しづらい。
 おまけに、今日の彼を見る限り、手がかりを得る前にフェリシティは“守られてしまう”だろう。それ自体はとてもありがたいが、進展はしそうにない。
(死ぬ前の私は、この頃は社交を必要最低限にして避けていたから、何が起こっていたのか知らないわ。もしかしたら、結婚式以外でも私を狙う行動があったのかも)
 外出を制限して助かった分、結婚式で惨殺されるという最悪の幕引きになってしまった。
 もし、フェリシティが避けた社交の場で、警告のような……犯人の手がかりとなる動きがあったのだとしたら、その段階で接触しておくべきかもしれない。
(……正直、あの日を思い出すだけで、今も怖くてたまらない)
 フェリシティとて襲われたいわけではないし、反射的に体が震えてくる。
 それでも、あの惨劇をまた起こされるぐらいなら。犯人の行動を煽る意味でも、フェリシティが孤立した攻めやすい状況――要は囮のようなことを試してみる価値はありそうだ。
 今度こそ、殺されない未来を迎えるために。
(となれば、また婚約者候補たちが集まりそうな社交場を見繕わなければいけないわね。もちろん次は、殿下に相談せずに……)
「殿下、お嬢様。聞こえますか?」
 考えがまとまったところで、御者席側からコンコンとノックが響く。
「どうしたの?」
「いえ、この後はこのままお屋敷に帰ればよろしいですか?」
 ふと窓の外を見ると、考えている間に公爵家の敷地は抜けていたようだ。
 見慣れた王都の貴族邸宅区画は、まだ早い時間なのもあって道も空いている。
「私はそれで構わないけれど……」
「いや、悪いが大通りのほうへ向かってくれるか」
 フェリシティが言いかけた言葉を、バージルの注文が上書きする。
 御者は了承の声と共に、ゆっくりと進路を変え始めた。
「大通りですか。何かご用事が?」
「俺のせいだが、茶会に行った娘が帰宅するには早すぎるだろう。何か問題があったのではと疑われかねない」
(実際に問題というか、殿下の強行はあったわけですが)
 フェリシティが胡乱な目を向けると、バージルは何故か少し楽しそうな雰囲気でこう続けた。
「詫びにもならないが、デートをしようフェリ」


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