書籍詳細
女王様のレシピ〜異界の騎士と囚われの花嫁〜
ISBNコード | 978-4-908757-06-8 |
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定価 | 1,320円(税込) |
発売日 | 2016/06/27 |
ジャンル | フェアリーキスピンク |
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内容紹介
立ち読み
むっつりと黙ったままのグラウデンに、腰を強く抱かれて薄暗い廊下を歩いていた。客間へ続く広い廊下には庭園からの月明かりが差し込んでいて、賑やかな宴会場とは別世界のように静まり返っている。何も言わず、ただ前を向いて歩いていた彼は突然に私の身体を引っ張り、林立する円柱のひとつに背中を押しつけた。そして、両手で荒々しく顎を持ち上げると激しく唇を押しつけてきた。
「ん、んんっ——」
閉じた歯の間を割って、舌が力づくで入ってきた。いきなり奥深くまで捻じ込みながら、慌ただしく捲り上げたドレスの中に下半身を擦りつけてくる。軍服のパンツを隔てても分かるほど、中心が猛り狂っていた。彼は私の口内を犯したままドレスの中に手を突っ込み、腿の内側に指を伸ばしてきた。
「あっ、ん……だ、だめっ……」
こんな場所で、と腰を引いたけれど、強引に捻じ込まれた指は秘めやかな場所を容易く捉えた。気持ちとは裏腹にキスだけで濡れていたらしく、私のそこは忍び込んだ異物をもう受け入れている。
指は繰り返しゆっくりと前後左右に蠢いた。硬くなった花芯を弄ばれるにつけ、甘くもどかしい痺れが背中を駆け上がっていく。
「う、……んん、う」
青い瞳に絡め取られたまま、とろけるような愛撫は続いた。次第に呼吸が浅くなり、脚が震えて支えがないと立っていることすら儘ならない。耐え切れず太い腕にすがりつけば、彼は狂おしいような目つきで私を見た。やがて、膨れ上がった入り口に指先が突きつけられて、ため息と同時に胎内に侵入してきた。
「やめ、て……あ、あ——」
思わず目を閉じ天を仰いだ。知り尽くした指が私の望むままに律動を始め、充血した壁をゆっくりと行き来する。太腿に擦りつけられる彼の中心が熱くて、硬くて、まるで彼自身に胎内を犯されているようだ。蜜を捏ねる淫らな音ばかりが足元から立ちのぼる。外だけで十分に高められていた私は、お腹の裏側を数度撫でられただけで一気に昇り詰めた。
「あっ、あっ、はっ、んんっ——」
大きな声を上げそうになって唇に手を当てた。全身がわなわなと震え、逞しい胸に倒れ込んだ。抱き留められ、長い間至福の波に揉まれたあとでやっと顔を上げてみれば、少し落ち着いた様子の青い瞳と視線がぶつかった。
彼は無言で、濃い睫毛の向こうからただじっと見詰め返してくる。無表情。だけど、何か言いたそう。
「……まだ、怖い顔してる」
「そうか?」
と、僅かに眉を上げた。お腹の中に何かを隠し持っているときの仕草だ。
「とりあえず、あなたのライバルには何もされてないわ。手を握られた以外は」
私がそう言うとグラウデンは、ふっ、と突然噴き出した。すぐに抱きすくめられて顔は見えなくなったけど、クスクスという笑い声とともに体が小刻みに震えてる。なんだかホッとした。だって、宴会場を飛び出してきてからこっち、彼はひと言も口を利かずに不機嫌そうな顔をしてたから。
グラウデンは柱に肘を預けて、空いている手の親指で私の唇を優しくなぞった。もう怒ってなんかいず、いつもの穏やかな顔つきに戻っている。
「嫉妬しているように見えたか?」
「まあね」
「そうか。ならばみっともないところを見せたな」
と、私の前に屈み込んだ。ひょい、と体が浮いて、次の瞬間には逞しい腕の中に抱き上げられた。太い首に腕を絡ませ、無精ひげの目立つ?に唇を寄せて囁いた。
「そうでもないわよ。あなたが妬いてくれるなんて嬉しいもの。で、どんな気分だった?」
歩きながら、そうだな、とグラウデンは茶目っ気たっぷりに何度か目を瞬いた。
「目の前に運ばれてきたうまそうな料理を、隣に座った見知らぬ男に?っ攫われた、ってとこだな。しかもそこは俺の馴染みの店なんだ」
「ふうん。……で、椅子に縛りつけられたあなたは、大好物を食い荒らされる様子を眺めていることしかできなかった、ってわけね」
「そう。俺が注文したのに、だ」
「サイテーね」
「ああ、サイテーだ」
しばらくの間ののち、ふたり同時に笑った。引き寄せられるようにどちらからともなく唇を重ねる。
そこはちょうど客室の前で、彼は私を抱き上げたまま扉を潜った。部屋の中では、そこここに生けられた花が優雅な香りを放っていて、目を閉じると夜の庭園にいるようだ。月の光が注ぐベッドに優しく下ろされ、また唇を重ねた。
彼の唇はしっとりと熱く、仄かに帝国のワインの香りがした。柔らかい果実をもぎ取るように、優しく繰り返し啄んでいたけれど。絡み合う吐息が熱を帯びるにしたがって深くなり、あっという間に燃え上がった。
差し入れられた舌を夢中で追い求めた。舌先で上顎をくすぐり、歯列をなぞり、舌下を舐り。ひとしきり貪り尽くしたのち、すっかり息を荒くしたグラウデンが唇を離して言った。
「……今日一日、ずっとお前を抱きたかった」
欲望に焦がれた瞳が揺れている。まっすぐに私の目を覗き込んだまま、ドレスのホックに指を掛けた。
「ずっと、って、いつから?」
「……ん。意地の悪い質問だな」
ちょっと恨めしそうな顔を見せて、彼は私の首筋に口づけを落とした。小鳥が囀るような音を立てながら上がってきて、耳たぶを唇で弄んでくる。
「ふ……くすぐったい」
「俺をからかった罰だ」
そう言って彼は、クスクスと笑いながら耳の輪郭に舌を這わせた。同時に、?き出しになった脇腹と背中を指先でなぞってくるからこそばゆくて堪らない。けれどそれも、すぐに快感に変わった。腰から上がってきた手が胸の膨らみを捉え、そっと頂に触れたから。
「あ……は……」
優しくて淫らな指は、膨らみを味わうように撫でさすり、そして時々焦らすように先端をかすめた。そのたびに私の全身はがたがたと震え、下半身に露を下ろしていく。唇からは絶え間なく吐息が零れ落ちた。指先の動きが徐々に熱っぽくなるから、余計に。
「ね、……グラウ、デン」
「なんだ」
「私、本当はね——あんっ」
愛撫に耐え切れず太い腕にすがりついた。瞬間、腰をきつく抱きよせられて逞しい肉体の中に落ちていく。
屹立したグラウデンの中心が、蜜口を優しく突いた。濡れそぼった場所をゆっくりと捏ねながら、透きとおる瞳でじいっと見詰めてくる。何も話さない。けれど、その目は穏やかで、愛している、お前が欲しい、という無言の言葉が伝わってくるようだ。
一瞬笑みを浮かべるように目を細めると、彼は胸に覆いかぶさり突起を口に含んだ。甘やかな痺れが身体を突き抜けて、蜜洞がキュッ、と締まる。
「やっ……あっ、あ、あんっ……」
もう喘ぎが止まらなかった。右の胸を舌と唇で翻弄され、左を指で愛撫され、執拗に捏ね回される下半身からはふしだらな蜜が滔々と溢れ出てくる。
硬く張った先端は時折入り口に引っかかり、焦らすように愛撫を続けた。彼が欲しくて無意識のうちに腰が揺れてしまう。逃しようのない疼きをなんとかしたくて、切ない気持ちばかりが募っていく。
「ん、んっ……、グラウデン……本当は私も、ずっとこうして……ほしかったの」
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