書籍詳細
侯爵様の執着愛 〜伯爵令嬢の愛人契約〜
ISBNコード | 978-4-908757-90-7 |
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サイズ | 文庫 |
定価 | 754円(税込) |
発売日 | 2017/05/16 |
レーベル | ロイヤルキス |
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内容紹介
人物紹介
ウィレミナ
イライジャに誤解されな
がらも、淫らな愛を与え
られて……。16歳。
イライジャ
ウィレミナに一目惚れ。
愛ゆえに手荒く扱ってしまうが……。
立ち読み
「そのロケットには誰が描かれているのですか?」
きっと答えはサイラスだと返ってくるだろう。そう考えながらイライジャは訊ねた。
しかし、意外な返事をウィレミナは口にした。
「言えません……」
ウィレミナは思いもよらない質問に驚いていた。まさか本人を前にイライジャの姿絵が描かれているとは言えなかった。このことはウィレミナの最大の秘密でもあった。
このロケットはウィレミナの心の安らぎであり日々を美しく彩る輝きでもある。
しかしそのことを目の前で不機嫌に座るイライジャには話せない。本人に身の程知らずな想いを知られるわけにはいかなかった。
サイラスならば、そんなことなど気にせずに思いの丈をイライジャにぶつければいいと言ってくれるだろう。
「言えないとはどういうことです? 後ろめたいものが描かれているというのですか?」
イライジャの言葉にウィレミナはたじろぐ。
「いいえ、お教えできません」
イライジャは知らないほうがいいのだと、ウィレミナはロケットを握り締める。
イライジャが突然立ち上がると襲いかかるようにしてウィレミナに迫った。ウィレミナはとっさのことで体をかわせず、手の中のロケットを奪い取られた。
首から引きちぎられて銀の鎖がシャラシャラと音を立てながら絨毯の上に落ちていく。
「あ……」
声を上げる間もなかった。ウィレミナは返してもらおうと両手を前に突き出した。
けれどウィレミナのロケットをイライジャは床に投げつけると硬い革底の靴で踏みつけて砕いてしまった。ロケットが歪み、蓋が内側に凹んでしまったのを見て、ウィレミナは声にならない悲嘆に息を呑んだ。
「サイラスの姿絵が描かれているのですね!?」
ウィレミナは驚愕の顔付きでイライジャを見上げる。
「これ見よがしにわたしの前でロケットを見てはサイラスの体を思い出したのですか!?」
イライジャが何を言っているのか、ウィレミナにはすぐに理解できなかった。しかし強く腕をイライジャに掴まれ顔を突き合わせるように、「サイラスを思い出すたびに体を疼かせていたのでしょう!」と言われ、初めてイライジャがウィレミナのことをやはり誤解したままなのだと思い知った。
「いえ、ち、違いま、す……」
ウィレミナは必死で否定した。
イライジャは力なく体を捩るウィレミナにわけもなく劣情を抱き、そのままベッドへと引きずっていった。勢いでロケットを踏み潰して、さらに顔をこわばらせているウィレミナを見ていると、言いようのない嗜虐心に支配された。
「イライジャ様、許してください……。お願い……」
ウィレミナはこれから何が起こるのかも知らず、一生懸命に懇願した。それが一層イライジャの野獣の心に火を点けるとも知らずに。
イライジャはウィレミナの胸元を掴むと力任せに引きちぎった。麻布でできた薄い生地は引きつれながら徐々に破れ目から穴を広げて、前ボタンを飛び散らせ臍のあたりまで破れていった。
ウィレミナは蒼白になり、胸元を隠す。部屋着だったためにコルセットも付けずシュミーズとドロワーズだけしか下着を身に着けていなかった。部屋着を破かれると更に薄い綿のシュミーズが露わになる。
「この体でサイラスを誘惑したのですね」
ウィレミナは力を失くしてただ首を横に振ることしかできなかった。
恐れに全身が固まってしまっているのに、ウィレミナは心の片隅で、いつかはあの舞踏会の夜の続きが来てしまうのではないかという諦めの感情を抱いていた。
ベッドに押し付けられ仰向けになったウィレミナの上にイライジャがのしかかる。
ウィレミナはイライジャの体重を感じながら、もはや抵抗をやめて鋭いイライジャの緑の瞳を真っ向から見つめた。
「抵抗もしないのですか」
いまさら抵抗のしようもないことはウィレミナにもわかっている。イライジャは舞踏会の時のように容赦なくウィレミナの体を蹂躙して組み伏せてしまうだろう。
誤解によって彼はこんな行動に走るのだと思う。それならば仕方ないのだとウィレミナは感じた。
イライジャにウィレミナの愛は届かない。しかもイライジャがウィレミナのことを娼婦だと考えていて、これが歪んだ関係であるにも関わらず、ウィレミナは繋がりを持つことができると心の何処かで嬉しく思っている。
(はしたないと思われてもいい……)
ウィレミナはドロワーズを引き裂くイライジャをすでに許してしまっていた。
今から恐ろしいことが起こるとわかっているのに、少しずつウィレミナの心は落ち着きを取り戻し、獣欲に満ちるイライジャの緑の瞳を見据えた。
「嫌がらないのですか?」
低く甘やかな声音でイライジャが囁いた。
「なら、手荒に抱いてもかまわないですね?」
素肌が晒されたウィレミナの下半身を開き、両腿の間にイライジャは興奮に高ぶった怒張を割り込ませる。
ウィレミナは息を止めて目をつぶる。イライジャを受け入れる唯一のことだと、ウィレミナは覚悟した。
神の御前で誓った神聖な交わりは、ウィレミナには授けられない。いくら愛しているとは言えイライジャの慰みものに今からなってしまう。
ウィレミナの愛だけは誰にも奪うことができない。その想いだけを胸に生きていこう……。ウィレミナは両手を胸の前に組み合わせる。
今まで意識したこともなかった部分にイライジャの硬い何かが当たり、イライジャがウィレミナの隘路を曝け出すように指で割った。割れた赤い肉の中へイライジャが侵入しようとめり込む。
「くぅ……っ」
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