書籍詳細
君にそばにいて欲しい2
ISBNコード | 978-4-86669-334-7 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 831円(税込) |
発売日 | 2020/11/21 |
レーベル | チュールキス |
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内容紹介
人物紹介
市木由良(いちき ゆら)
外資系の企業に勤めるOL。 上司である一色に憧れていた。
一色青(いっしき あおい)
由良の上司で部長。 容姿も性格もよく、女性にかなり人気がある。
立ち読み
「私、青さんがタバコを吸ったあと、キスするの、好きです。それに、オピウムの落ち着いた匂いに包まれるのも。……そんな話を聞いたらなおさら」
そこで由良は少し口を噤んでから、一色の綺麗な目を見つめる。
「青さんの舌はちょっと苦いけど、それが……とても身近に感じられて……私、特別感があるんです。今までの、青さんとお付き合いしていた人もそうかもしれないけど、距離が縮まった気がして」
そういって微笑むと、一色は優しい眼差しで由良を見下ろした。
「君以外の前では吸ったことないよ。自宅でしか吸わないんだから」
「そうなんですか? 本当に?」
「そうだよ。だいたい僕は人と付き合うのはちょっと苦手なんです。きっちりと着ているスーツも、印象をよく見せるためのもの。なのに、外でタバコを吸うなんて、するわけがない。最初から君には、無意識に僕の素を見せてしまっていた。それくらい、君は、僕の特別」
一色が由良の腰を抱き寄せる。
アトマイザーを手に取り、由良の胸元にシュッと吹きつけた。
「細い腰だ……君はタバコを吸ったあとのキス、嫌いだろうと思っていた」
「……苦いな、って思いますよ? でも、それが、青さんだから……」
由良は自分の言葉を思い出し、なんてことを言ったのかと、恥ずかしくなってしまった。
一色のタバコ味のキスが好きだと言い、特別感があるなんて口にしたからだ。彼と付き合う前の自分だったら絶対に言わないだろう言葉が、最近スルスルと声に出てしまう。
でも、それは彼を煽るのには十分だったらしい。
抱き締められ密着している身体から、彼が熱くなっているのがわかった。
下腹部をほんの少し押し上げるように反応している一色自身が、由良を抱きたがっているように思えた。
彼が由良の顎を持ち上げ、見つめる。
「あ……」
「君といると、いつも、理性が持たなくなってしまうよ、由良」
彼はそう言って、ゆっくりと由良の唇を啄むようにキスをする。何度かチュ、と音を立てながらキスをし、一色の親指が由良の下唇に触れ、軽く開かせる。
彼がいつも身に纏っている匂いが鼻孔をくすぐり、由良の官能を引き出す。
「青さ……っん」
待ち望んだように彼の舌を口内に迎え入れる。
独特の苦みが舌を痺れさせ、それに慣れる頃には、キスがもう甘く変化している。
「ん……っふ」
唇の角度が変わる時に息を吸うと、唇の端から飲み込み切れない唾液が伝う。それをわかっているように彼は由良の唇の端を指先で拭い、ゆっくりと舌を転がす。
彼の甘く苦いキスにも、匂いにも感じさせられ、由良は彼の腕の中で溶けてしまいそうだった。
ようやく唇が離された時、濡れた音が耳に響き彼に身を預けてしまう。
「風呂はどうする?」
指先で由良の唇に触れたまま、そう聞いてきた。
一色の唇も濡れていて、由良は息をのむ。
彼は風呂に入ったが、由良はまだだった。綺麗に身体を洗って、抱かれたいと思うけれど、この状況で言うのはどうなのだろう、とほんの少し考えを巡らせる。
「君と一緒に、風呂に入ってもいいな」
大きな手が服の上から由良の胸を撫でた。もうすでに胸の先端は尖っている。
「君を洗って綺麗にするのも、楽しいですからね」
次は肩甲骨のあたりを撫で、由良は軽く息を詰め身をよじる。
「どうする?」
耳に、首筋に、何度も小さなキスを繰り返して一色が聞いてくる。
こんなのはずるい。
由良は何も答えず、ただコクンとうなずき、次の瞬間には抱き上げられていた。
「青さん……」
彼の耳元で名を呼ぶと、抱き上げた腕にほんの少し力が入った気がした。
「僕を煽るのが上手くなった」
クスッと笑った彼は、浴室で由良の身体を下ろす。
「そんな君にはいつかの約束を果たしてもらおうかな?」
「やく、そく?」
由良が舌足らずに聞けば、彼はいたずらっぽい笑みを浮かべて指先で唇を撫でた。
「君の身体を洗って、蕩けさせてからにしよう」
一色は由良の服を脱がしにかかる。
「わかり、ました」
服を脱がされながら身体のいたるところにキスをされ、くすぐったくて身をよじってしまう。そのたびに二人で笑って。由良も真っ赤になって一色が服を脱ぐのを手伝だった。
手を引かれて浴室に入ると、そっと抱き締められてどちらからともなくキスをした。
☆
彼と一緒に風呂に入るのは初めてではなく、何度もしているけれど、やはり恥ずかしい。
一色の手でいつも変になり、声を出し、くったりと身体を預けてしまう。
きちんと洗ってもらっているのに、下半身から溢れてくる愛液のせいで、ずっと濡れていた。
「青さん、もう……」
彼の胸に額をすり寄せると、顔を上げさせられ、その額に小さくキスをされた。抱えられるように浴室を出たあと、バスタオルに包まれ、そのままベッドへと運ばれる。
由良は一色が欲しくてたまらなくなっていた。
身体を洗う名目で秘めた部分を指で愛撫され、一度高みへと連れていかれた。それだけでなく、肌を唇が吸い、赤い痕を残している。
一つだけ痛いくらい吸われたところは赤みが強く、色が青色に変わりそうだ。
しかしその痛みも甘く、由良は優しくも激しく求められていることが嬉しかった。
一色に自分の中に入れて欲しいなんて言えない。
というか、彼が欲しくてたまらなくて、自分から言いたくなることなんて、今までなかった。
彼のモノは大きく、最初は圧迫感があるけれど、すぐに馴染み、身体の一部のようになる。身体を揺すられるたびに、自分じゃないような甘い声を上げてしまう。
一色は由良をベッドに下ろし、髪の毛を軽く拭き上げた。次に身体も同じように拭いたあと、バスタオルを床に落とす。
纏うものが何もなくて心許ない。
だから一色が早く由良を抱き締めてくれたら、と思う。
けれど彼はベッドサイドのチェストから避妊具を取り出し、由良の手に渡す。
「僕のに、着けてくれる?」
由良は何度も瞬きをした。息をのみ、彼の反応しきったモノを見る。
『いつか、僕のに着けてくれる?』
以前にも言われた言葉だ。あの時と同じように、由良は首を振って無理だと態度で答えた。けれどお互いを感じて、気持ち良くなるために、と乞われた。
「上手く、できないかも……」
高ぶっている身体を持て余しながら言うと、彼は微笑んだ。
「大丈夫、難しくない」
由良は小さくうなずき、いつも一色がしているように四角のパッケージを破る。
中身を取り出し、ほんの少し動きを止める。彼のモノを見て、苦しいくらい早鐘を打つ心臓を感じながら息を吐く。
彼が着けていた様子を思い出し、由良は彼のモノにそっと触れた。
それは、温かくて硬くて。
持つと少しピクリと震えて、一色がゆっくりと息を吐き出した。見上げると彼が小さく笑い、由良の前髪に触れる。
「早く着けて……君に入りたい」
「は、い」
避妊具の先端を持ち、ゆっくりと彼のモノに着けると、それだけで反応がさらに強くなる。
「着けました……」
一色は何も言わず由良の頬に触れる。それから由良を引き寄せ軽く抱き上げて膝立ちにさせた。
「自分で入れて、由良」
「え……?」
彼のモノは何度も受け入れているけれど、自分で入れたことなんてない。
なんだか怖くて首を振る。羞恥で頬がみるみる熱くなっていく。
「大丈夫、ゆっくりでいい」
彼が欲しくてたまらないのは変わらなかった。浴室でたくさんの愛撫を受けていかされて、由良の身体は十分高まっていた。
一色にはいつもこうして一緒に気持ち良くなるためのことを教えてもらっている気がする。
由良は勇気を出して、彼のモノに手を添えた。自分の内側へ受け入れるために、隙間の入り口に彼のモノを宛てがうと、彼が熱い吐息を吐き出したのがわかった。
先端が当たるだけで中から愛液がトロリと溢れ、滴っているように感じて恥ずかしさでキュッと唇を噛んでしまう。
でもそんな姿も彼に見られているかもしれなくて。恥ずかしいけれど、意を決して一色の肩に片方の手を置く。そしてゆっくりと腰を落としていった。
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