書籍詳細
この恋は結ばれないはずだったのに 〜極上御曹司の最愛〜
定価 | 1,320円(税込) |
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発売日 | 2022/04/28 |
電子配信書店
内容紹介
立ち読み
晴れ渡る真っ青な空の下、眩しいほどの真っ白な雪山が並ぶ。その手前には近代的なビル群、その前には何百年も前に建てられただろう昔の街並み。大自然と近代、そして過去が入り混じる不思議、かつ壮麗な光景にただただ見惚れる。
そうしていると、今まで感じたことのない解放感が紗良を満たした。
『君みたいな美人に「綺麗」と言われるのは、不思議な気分だな』
ふと昨夜会った人物の言葉が頭をよぎる。
昨夜、憧れのイタリア旅行に浮かれていた紗良を助けてくれた恩人。
彼は、紗良のナンパまがいの言葉にも動ずることなく、くすくすと笑った。嫌味でないのは声の調子からわかったけれど、からかうような口調に頬を赤くする紗良に、彼は優しく忠告してくれた。
『見たところ女性の一人旅のようだが、もう少し警戒心を持たないとだめだ。君に声をかけた男には仲間がいた。気づいてなかっただろ?』
目を丸くする紗良に彼は苦笑しながらも、彼らがグルになってスリを行う手口を教えてくれた。
『——とまあ、怖がらせるようなことを言ったけど、肝心なことに気をつけてさえおけばイタリアは最高に楽しい国だ。明るくて気さくな人間が多くて、世界遺産の宝庫。何より飯が美味い!』
彼はニコッと明るく笑うと、紗良が再度お礼を言う間もなく『それじゃあ』と背中を向けて去っていった。
(素敵な人だったな)
低くて心地よい声色、穏やかな口調に優しげな笑み。身につけたものを見る限り社会的地位の高い、あるいはかなりの資産のある人だろうに、高圧的な雰囲気は微(み)塵(じん)もなく、見るからに節約旅の大学生である紗良に紳士的に接してくれた。
あんなにも印象的な男性は初めてだ。
同時に思い出したのは、イタリアで出会った両親の恋物語。
日本で会社員をしていた父とイタリアで料理人見習いをしていた母は、フィレンツェで出会い恋に落ちた。そんな二人の語を聞くたびに、幼い紗良は「自分もそんな恋がしたい」と胸をときめかせたものだ。
(私とあの人が恋に落ちる、なんてありえないけど)
彼のことは何も知らない。今後会うこともないだろう。それでも、ここ、憧れのイタリアでほんの一瞬でもときめきを感じさせてくれた彼に感謝しつつ、紗良は屋上を後にした。
午後五時過ぎ。ミラノの王道観光コースを心ゆくまで堪能した紗良は、足取りも軽くホテルへの帰路についていた。
今現在歩いているのは、ヴィットーリオ・エマヌエーレ二世のガッレリア。
このアーケードはドゥオモとスカラ広場を結んでおり、世界的に有名な一流ブランドや名だたるリストランテが軒(のき)を連ねている。節約旅行真っ最中の身には縁がない場所だが、ウィンドウ越しに見るだけでも十分楽しい。
——最高の一日だった。
イタリアオペラの最高峰スカラ座を外から眺め、ブレラ絵画館で数え切れないほどの名画を心ゆくまで堪能した。事前に予約していたダ・ヴィンチの『最後の晩餐』も見ることができたし、観光の合間にはお洒落なカフェで美味しいパニーニも食べた。
こちらから笑顔で挨拶をすれば同じように明るい笑みを返してくれる店員。どこを撮っても絵になる街並み。元々憧れていた国ではあるけれど、旅二日目にして紗良はすっかりこの国の虜(とりこ)だ。
(……本当に来てよかった)
そう、満足感に満たされていた時だった。
「っ!」
突然後ろから来た衝撃で前のめりになり、地面に膝をつく。咄嗟に顔を上げると、緑のニット帽を被った浅黒い肌をした男と一瞬、目が合った。
「え……?」
男はすぐに背を向けてその場から走り出す。その脇にしっかりと抱え込んでいたのは——今まで紗良が持っていたショルダーバッグ。肩紐を刃物で切られたのだ。
「待って!」
逃げる男を追いかけようと踏み出すけれど、足がもつれてその場に勢いよく転んでしまった。
「痛っ……」
右肘に鋭い痛みを感じてすぐに立てない。その間にも男の背中はどんどん遠ざかり小さくなっていく。
「っ……ドロボー!!」
ここは外国。紗良は一旅行者。泥棒、なんて叫んでも周囲の人には意味もわからないだろう。
それでも大声を出さずにはいられなかった。幸せな気分にひたって一日を終えようとしていたのに、まさかこんなことになるなんて。
最悪だ。嘘のような不安に襲われて、無性に泣きたくなる。
おそらくバッグはもう戻ってこないだろう。ならば警察に届けたりカードを止めたり、今すぐしなければいけないことはたくさんある。けれど刃物を使われた恐怖、傷の痛み、何よりショックと不安でその場から立ち上がることができない。
悔しくて悲しくて、腹立たしくて。込み上げた感情で涙腺が緩みかけたその時、石畳に落とした視界に磨き上げられた革靴が入り込む。
「大丈夫か?」
——日本語だ。
頭上から降ってきた声に弾かれたように顔を上げる。その瞬間、そこにいた人物に紗良は息を呑んだ。
「あなたは……」
驚きのあまりそれ以上言葉が続かない。
もう二度と会うことはないだろうと思っていた人。
昨夜、シャトルバス乗り場で紗良を助けてくれた男性がそこにいたのだ。
驚いたのは相手も同じだったらしい。彼は目を大きく見開くと驚愕を露わに紗良を見返す。
「昨日の……これは君のか?」
「私のバッグ!」
差し出されたのは、ひったくりに奪われたはずのバッグだった。
「でも、どうして」
「ガッレリアを歩いていたら日本語で『ドロボー!』なんて聞こえたから驚いて。その直後にものすごい勢いで走ってきた男がいたから、咄嗟に引き止めたんだ」
「引き止めたって、刃物を持っていたのに?」
彼は肩をすくめて苦笑する。
「腕を掴んだら相手も『まずい』と思ったんだろう。バッグをその場に投げ捨てて逃げてしまった。捕まえられればよかったけれど、そこまでは」
「バッグが戻ってきただけで十分です!」
戻ってこないと思っていたものが返ってきた。しかもそれを取り返してくれたのが彼だなんて。奇跡の連続に言葉もない紗良に、彼は「中身は無事?」と確認するように促す。
「はい。スマホもあるし、なくなったものはなさそうです」
盗られたものは何もない。そのことに心の底から安堵する。
「よかった。それはそうと立てるか?」
「はい」
いつまでも座り込んではいられない。紗良はバッグをぐっと抱えて立とうとする——が、足に力が入らない。バッグが戻ったことに安心して腰が抜けてしまったのだ。
「痛くて立てないのか? 膝を擦りむいてる」
その言葉に自分が怪我をしていたことを思い出す。気が抜けたからか、指摘された途端にズキズキした痛みが戻ってくる。
「手当てが必要みたいだな。——失礼」
「きゃっ!」
大丈夫です、と言いかけた声は悲鳴に変わった。体がふわりと浮き上がり、視界が高くなる。
男性が紗良を抱き上げたのだ。突然のお姫様抱っこに反射的に体を捩(よじ)る紗良の耳元で、男性は「動くな」とそっと嗜(たしな)める。
「落ちたら危ないから」
これはダメだ、反則だ。昨夜初めて会った時も「素敵だな」と思った声で囁かれて、紗良はきゅっと身を縮ませる。そうすると余計に背中と膝の下に回された男性の逞(たくま)しい両腕を意識してしまう。
「あの、下ろしてください。大丈夫ですから……!」
「立てないくらい痛いのに大丈夫なはずがないだろう。ホテルの場所は?」
そう問われて戸惑いながらもスマホを取り出してマップを開く。男性はちらりと見ただけで場所を把握したようで、小さく頷いた。
「ここからなら俺の滞在しているホテルの方が近いな」
「えっ……!」
言葉を失う紗良に男性は表情を和らげる。
「手当てをするだけだ」
言うなり男性は歩き始める。一方の紗良は逞しい腕に抱かれながら、すれ違う人々からの視線を痛いくらいに感じていた。それもそのはず、紗良を横抱きにするこの人は外国人モデルと並んでも見劣りしないと思われるほどの美丈夫なのだ。通りざまに二人を見て「ヒュウ!」と口笛を吹く人までいるのだからたまらない。
「恥ずかしい?」
身を縮めながら頷くと、男性は小さく笑う。
「気になるなら目を閉じていればいい。大丈夫、変なところに連れ込んだりしないから」
冗談めかして微笑むと、彼は足取り軽く石畳を闊歩(かっぽ)した。
『倉(くら)瀬(せ)伊(い)織(おり)』
そう名乗った彼が紗良を横抱きにして向かった先は、なんとミラノで最も格式高いとされている五つ星ホテル。紗良は通された部屋の豪華さにも驚かされた。
床一面に敷き詰められた精(せい)緻(ち)な柄の絨毯(じゅうたん)。天井にはヴェネツィアンガラスを贅沢に使ったシャンデリアが、眩(まばゆ)いばかりの光を放っている。
視線の先には大理石のテーブルが置かれ、アンティーク調の花瓶に生けられた花がなんとも美しい。
紗良が座るソファも座り心地といい滑らかな革の手触りといい素晴らしい。
——どうしてこんなことになっているのだろう。
現在、紗良の足元では二度もアクシデントから救ってくれた彼が跪(ひざまず)いている。
その手元には消毒液と絆創膏。どちらもホテルのフロントマンに用意してもらったものだ。
この日、紗良は厚手のタイツに膝丈のスカートを穿(は)いていた。だが転んだせいでタイツはビリビリに破けてしまい、今はゴミ箱の中だ。そのため紗良は素足を倉瀬の眼前に晒している。それがどうにも恥ずかしい。
「あの、やっぱり自分でやりますから……」
「いいから。消毒するから少し沁みると思う」
「んっ」
ひんやりとした消毒液の感触と微(かす)かな痛みについ声が漏れてしまう。すると倉瀬の手がぴたりと止まった。視線を向けると、彼はなんとも言えない困惑した様子で紗良を見上げている。
「……その声は、ちょっと」
「え?」
目を瞬かせると倉瀬は「いや、なんでもない」と苦笑して、再度紗良の足に視線を戻す。そして膝に続いて肘の手当てを手早く終えると体を離した。それに少しだけほっとした紗良は呼吸を整え立ち上がる。そして、倉瀬に深く頭を下げた。
「先ほどは本当にありがとうございました。倉瀬さんが助けてくださらなければどうなっていたか。昨日も今日も、倉瀬さんのおかげで救われました。重ねてお礼申し上げます」
誠心誠意感謝の気持ちを伝えると、「顔を上げて」と穏やかな声がかけられる。
「言葉遣いももっとリラックスしていい。堅苦しいのは得意じゃないんだ」
促されてゆっくりと顔を上げると、優しげな表情の倉瀬と視線が重なった。
「俺は当たり前のことをしただけだ。それよりも座って。足首を痛めていないと言っても怪我をしたのは事実なんだから」
恩人を立たせたまま自分だけ座るのははばかられる。するとためらう紗良を見た倉瀬は「見かけによらず強情だな」と小さく笑い、対面のソファに座った。
「これでいい? できれば俺を、女性を立たせたままにするような男にしないでほしいんだが」
茶目っけたっぷりに倉瀬は笑う。それに釣られて紗良も笑い、再び腰を下ろした。
「ありがとう。——さてと、落ち着いたところで自己紹介といこうか。今さっき気づいたけど、俺はまだ君の名前も知らないんだ」
はっとした紗良は慌てて名乗る。
「望月紗良です。二十二歳で、イタリアには大学の卒業旅行で来ました。明日にはミラノを出発してヴェネツィアに行こうかと。その後はフィレンツェに十日間ほど滞在する予定です」
「ということは、今回の主な目的地はフィレンツェ?」
「はい。子供の頃から憧れていた街なんです」
「いい場所だよ。俺もイタリアの中では一番好きな街だ」
「行ったことがあるんですか?」
「何度か」
「……いいなあ」
つい心の声を零(こぼ)すと、倉瀬は「仕事で訪れたことがある程度だけど」と苦笑する。
「じゃあ次は俺の番だ。名前はさっき言ったな。倉瀬伊織、三十歳。食品メーカーでマーケティングの仕事をしていて、ミラノにもその関係で来た。はい、名刺」
倉瀬は胸元に入れていた名刺ケースから一枚取り出すと、紗良の方へ差し出す。
「頂戴します」
両手で丁寧にそれを受け取った紗良は言葉を呑んだ。
『千石フーズ株式会社 海外マーケティング部 倉瀬伊織』
そこに記された社名に一瞬、息をするのも忘れる。
「どうかした?」
「あ……すごく有名な会社だから驚いてしまって」
現在、国内には「御三家」と呼ばれる大手食品メーカーが存在する。
神代食品、ミナセ、そして千石フーズ。その中でも千石フーズは最も規模が大きく、グループ関連企業を含めた事業規模は一兆円を超える大企業である。
「自分の勤める会社を持ち上げるわけではないけれど、確かに有名ではあるな」
肩をすくめる倉瀬にほっとする。そのまま心の中の動揺を悟られないように、平静を装いながら対面の彼を見返した。
「千石グループは就職希望企業ランキングにいつも入っていますよね。私の通う大学でも大人気で、実際何人もの友人がエントリーしたと言っていました」
倉瀬は足を組んで両肘をそこに置くと、からかうように紗良を見つめる。
「君もエントリーした?」
「えっと、それは……」
予想外の切り返しにまたもや答えに詰まる。すると倉瀬は軽く噴き出した。
「その反応を見る限り、うちは君の選択肢に入れてもらえなかったようだな。ネームバリューにあぐらをかいていたらダメだと会社の人間に伝えないと」
「そんなつもりは! そもそも私は就職活動をしていないので……」
「冗談だ」
慌てる紗良に倉瀬はくすくすと笑うと、正面から紗良をじっと見つめた。その整った顔立ちに改めて驚かされる。
顔だけではない。視線のよこし方、座っていてもわかる立派な体躯に姿勢の良さ、組んだ足の長さ——倉瀬伊織という男自身の存在感に圧倒される。
その時、何を思ったのか倉瀬がふわりと笑う。不意打ちのそれに紗良の心臓は大きく跳ねた。美貌の男の色気満載の笑顔は、衝撃が強すぎたのだ。
「でも怪我が軽くてよかった。それなら痕も残らないだろう。せっかく綺麗な肌をしているのだから大切にしないと」
その上さらりとこんなことを言うのだからたまらない。
綺麗な肌、なんて。面と向かってストレートに褒められて流せるほど、紗良は異性への接し方に慣れていない。代わりにできるのはただただ赤面するばかり。そんな紗良の反応に倉瀬は目を見張った後、困ったように苦笑する。
「もしかして今のセクハラとかになる?」
「そうではなくて、その……恥ずかしくて」
「意外だな。紗良ほど美人なら、異性から褒められ慣れているだろ?」
「え……?」
突然の呼び捨てに驚いていると、倉瀬は「ああ」と苦笑する。
「馴れ馴れしかったかな」
「いいえ、そんなことは!」
「なら名前で呼んでも?」
「……は、はい」
特に断る理由もないので頷くと、倉瀬は目を細める。
「『紗良』。素敵な名前だな。イタリア語にも同じ響きの名前がある。『Sara』、意味は確か『お姫様』。君にぴったりの名前だ」
「っ……!」
「照れてる? 耳まで真っ赤だ」
指摘されて反射的に両手で耳を隠すと倉瀬は笑みを深めた。優しくも艶めいたその表情に今度こそ紗良の心臓は激しく鼓動し始める。倉瀬とは知り合ったばかりだが、共にしたこの短い時間でもわかったことがある。
——多分、いや間違いなく倉瀬は女性慣れしている。
チャラいわけではないが、とにかく彼の行動はスマートなのだ。
シャトルバス乗り場で紗良を助けた時然り、お姫様抱っこからこれまでの流れ然り。
彼にとってはただの親切で、特に深い意味はないのかもしれない。けれど、こうも立て続けに女性扱いをされると、慣れていない紗良は勘違いしそうになる。
(……まさかね)
そういえば倉瀬は、昨夜バス乗り場でもさらりと「美人」と言ってくれた。彼にとっては社交辞令なのだろう。そう考えると少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。きっと紗良をからかっているだけなのだ。
「倉瀬さん。お姫様がぴったりだなんて言われたら私、口説かれていると勘違いしちゃいますよ?」
紗良は彼が自分にしたように悪戯(いたずら)っぽく見返す。
もちろんこれは本気ではない。だが、気まぐれで助けた小娘に気など持たれたら倉瀬にとっても面倒なだけだろう。そんな意趣返しの意味も込めて叩いた軽口だったのだけれど……。
「勘違いじゃない、と言ったら?」
「え……?」
倉瀬は組んだ足に肘を乗せる。そして力強い瞳で真正面から紗良を射た。
「君と今夜を共にしたいと本気で口説いているのだとしたら、どうする?」
体の関係を望まれていることは異性経験に乏しい紗良にもわかった。だが今の紗良に言えることは、ただ一つ。
「……困ります」
倉瀬ほど上等な男の誘いならば、頷く女性の方が多いのかもしれない。だが少なくとも紗良にそんな勇気や度胸はない。だから「困る」と正直に告げたのだが、倉瀬は「そうか」と小さく息をつく。
「残念だな。こうしてまた会えたのも何かの縁だ。せっかくなら夕食でも一緒にどうかと思ったけど」
「夕食?」
「実は仕事関係の人間と食事する約束をしていたんだが、先方の都合でキャンセルになってしまって。なら一人で適当に済ませるより、君と一緒に食事ができたら嬉しいと思ったんだ」
この言葉にようやく紗良は自分の思い違いに気づく。
『今夜を共にする=夕食を共にする』ということだったらしい。
だがあの台詞と雰囲気でそれを理解する方が難しい。何より目の前でくすくすと笑いを噛み殺す姿を見る限り、倉瀬は絶対に紗良が勘違いするとわかってあんな言い方をしたのだ。
「……まぎらわしい言い方をするのはどうかと思います」
「ごめん。困る君の姿があまりに可愛いから、少しだけ意地悪したくなった」
「だから、そういうのがっ——! ……いいです、もう」
紗良が何を言ったところで口で勝てるとは思わない。今のようにからかわれるのがオチだと、この短い間で紗良は悟った。
「それで、返事を聞かせてもらっても?」
色気たっぷりのお誘いに紗良はしばし悩む。
——これきり「さようなら」と別れてしまうのは、なんとなく嫌だった。
もう少し彼と一緒にいたい。彼のことが知りたい。
そう思ってしまったから。
「……お相手が私でよろしければ、喜んで」
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