書籍詳細
猫かぶり王子の溺愛
ISBNコード | 978-4-86457-291-0 |
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サイズ | 文庫 |
定価 | 703円(税込) |
発売日 | 2016/02/04 |
レーベル | チュールキス |
発売 | ジュリアンパブリッシング |
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内容紹介
人物紹介
安藤沙奈
(あんどう さな)
有名エステティシャンの姉を持ち、マッサージが得意で家庭的な大学三年生、21歳。
冴島光貴
(さえじま みつき)
王子様的容姿で人気モデル「ヒカリ」として十代前半から芸能界で活躍している、21歳。
立ち読み
「………っ、ん」
上げようとした抗議の声は、唇を塞がれたことで封じられてしまった。何も許可などしていないのに、Tシャツを胸の上まで捲り上げ、ヒカリは勝手に身体に触れてくる。
「んンっ……ん、やあっ」
唇を振りほどいて懸命に抗っても、今度はやめてもらえなかった。
やわやわと緩急をつけてヒカリの手で胸を揉まれていることが信じられず、沙奈は自分の上にある彼の身体を懸命に両腕で押し返そうとする。しかしまったく動かない。その間も胸の膨らみは自由に弄ばれている。
「いや……やっ、やです……ぅ」
首を振って身体を捩る沙奈に時々口づけながら、それでもヒカリは手を止めてくれない。それどころかかなりの力で胸を掴み、大きく揺さぶってくる。
「やっぱり俺じゃいやか? それともこうされるのがいや?」
「どっちも……! あっ……ん」
問いに沙奈は急いで答えたが、また唇を塞がれ、手の動きはますます激しくなる。
力が入らない沙奈の口もとから挿し入れた舌で口腔内をかき回しながら、ヒカリは反対の胸の膨らみにも手を伸ばした。
両胸を寄せるようにして揉み上げられながら、濃厚なキスの間に、沙奈は必死で息を継ぐ。
「んっ、んんっ……は、あっ……」
声は妙に艶めかしく、まるでこの行為を喜んで受け入れているように、自分の耳にも聞こえる。しかし決してそうではない。いやだと言ったのにと思うと、悔しく腹が立つ。
「い、やっ……やですってば……!」
キスの合間に訴えると、ヒカリがくくくと喉を鳴らして笑った。
「本当にいやならそんな顔してないって……なんでそんなに真っ赤な顔で、潤んだ目をして俺を見るんだ? 息も荒くて、声も色っぽい……沙奈」
「だって……あ、はあっ……!」
胸を掴んでいたヒカリの手が、かろうじてまだ肌を覆っていたブラを膨らみの上まで押し上げ、じかに触れてくる。
「あんっ、いやっ」
沙奈がどれだけ身体を捩っても、もう手を引いてくれなかった。
「沙奈が俺になんて言ってほしいのか、本当は知ってる。それが貰えないからこんなに抵抗するってことも……でも俺は言わない。もう、一回言ったからな……二回は言わない。欲しかったら自分で思い出せ」
「えっ、何? あ……ああんっ」
謎かけのような言葉を耳もとで囁きながら、ヒカリはじかに胸を揉んでくる。てのひらで擦られた胸の先端の突起が硬く尖ってくる感覚があり、沙奈の身体は羞恥で熱くなった。
「乳首硬くなってる。気持ちいいのか?」
「…………!」
問いかけられても頷けるはずがない。無理やり触られているのにと叫びたい口を、またキスで塞がれる。
「ふんっ……っは……あっ」
唇の輪郭を舌でなぞりながら、ヒカリの指は器用に胸の膨らみの先端を転がした。クルクルと円を描くように側面を撫でられ、指先で軽く摘ままれると、ますます硬く尖ってしまう。沙奈は今すぐこの場所から消えてなくなってしまいたいような気持ちだった。
「気持ちいいんだろ、沙奈」
笑い含みの声で耳に息を吹きこむようにして囁きながらヒカリが胸を弄ると、確かに痺れるような感覚が全身に走る。呼吸は荒くなるし、信じられないほど身体も熱くなって、全身から力が抜けてしまいそうになる。しかし—。
「もっとよくしてやるよ。俺をおかしくしてくれたお礼……ううん、お返しだ」
首筋を下りたヒカリの唇が、捲り上げたTシャツとブラを越えてそのまま胸の膨らみにまで滑ると、さすがにじっとしてはいられない。
「なっ……だめ! ……だめぇ!」
ヒカリの肩を掴んで懸命に押し退けようとした両腕は左右に大きく開かれ、上質なベッドカバーの上で押さえつけられてしまった。無防備にヒカリの目の前に晒された胸の膨らみに、引き締まった口もとからチラリとのぞく赤い舌がゆっくりと伸ばされる。
「いやっ……んんっ」
その光景を見ていることに絶えられず、沙奈が両目を固く瞑ったのと、硬く尖っていた胸の先端が、ヒカリの熱くて柔らかな舌に包みこまれてしまったのはほぼ同時だった。
「やっ、ああん」
背中を仰け反らせて逃げようともがく沙奈の身体に身体を重ねて押さえこみ、ヒカリは痛いほどにジンジンと疼くその器官をねっとりと舐め上げる。
「あっ、あ……いやぁ……」
沙奈はベッドカバーを足で蹴り、身体を上へずらして逃げようとした。しかしヒカリに体重をかけられれば、もうピクリとも動けない。
「あんっ……あ……あぁ」
まるで飴でも舐めるようにペロペロと舐められ、口に咥えて吸われた。やめてほしいと思うのに、身体にまったく力が入らない。押さえつけられた両腕も、圧し掛かられた身体も、ヒカリの行為をまったく阻めない。
「やっ、やあぁ……」
唯一できるのは言葉での抗議のみだったが、それもうまくいかなかった。口から飛び出してしまいそうに心臓がどくどくと大きく脈打っており、開きっぱなしの喉は奥まで乾いている。
言葉は掠れ、妙に熱っぽくなってしまい、沙奈の耳にも甘えた声のように聞こえる。
「沙奈、どう? 気持ちいい?」
胸の先端を口に咥えたままヒカリが問いかけてくるが、沙奈は正直に答えられるはずもない。
「やっ、ちが……よくない、っん」
それなのに言葉を発されるたびに咥えられたままの突起を刺激され、ビクンビクンと大袈裟に身体が揺れてしまい、奇しくも答えたような形になってしまう。
「認めたくないけど気持ちいいか……でもこれで俺の気持ちがわかっただろう?」
「えっ……? あ、ああっ」
「おかしくなりそうだろう? 俺もおかしくなるんだよ、お前にマッサージされると……」
「あ……ぁ、あんっ」
ヒカリの艶めかしい様子から、そうなのだとうすうすわかっていたつもりだったが、実はまったく理解できていなかったのだと沙奈は息を呑む。自分がマッサージするたびに、こういうことをしているほどに身体が気持ちよくなるのならば、それは大問題だ。
「ごめ、なさい……もうしな……しませんからぁ……あっ」
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