書籍詳細
王と寵姫 〜幼き約束、初恋のゆくえ〜
ISBNコード | 978-4-908757-56-3 |
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サイズ | 文庫 |
定価 | 713円(税込) |
発売日 | 2017/01/16 |
レーベル | ロイヤルキス |
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内容紹介
人物紹介
ルチア
小国ベルネスタの姫。16歳。
従属国としてフランディーズ国に捧げられた。
アレクサンドル
フランディーズ新国王。20歳。
初恋の女の子に似ているルチアに興味を持つ。
立ち読み
「いやぁぁぁ……ッ!!」
無我夢中で暴れる女を無理矢理硬い床の上に組み敷き、喪服を引き裂いた。彼女の背中が痛むかもしれないなどという気遣いは、今この場で持ち合わせる必要など感じなかった。
はらはらと、揚羽蝶のように黒い布片が宙を舞う。
酔いの勢いに任せて、新雪のごとく真っ白な肌に、無骨な指を這わせた。
首に、乳房に、腹に、唇を寄せて吸い上げる。
兄の痕跡などそこにはないはずなのに、なぜか自らが抱いた事実を上書きしたくなった。まっさらな雪原に足跡を残すように、柔肌に口づけの痕を残していく。
赤く、赤く、鬱血の花が咲いた。
「あ……っ、いや……っ」
涙を流しながら、ルチアは藻掻き続けた。
無駄な抵抗と知っているはずなのに、どうしてこうも頑なになるのか。まさか本気で兄を愛していたわけではあるまい。
あるいは、本当に愛していたのか?
そんな自問に、なぜか胸の内が焦げ付く。それを自覚すると同時に、いつの間にかルチアの唇を塞いでいた。
「んん—……ッ」
強引に舌をねじ込み、口中を蹂躙する。
歯列を割って舌と舌を絡ませ、頬の内側の粘膜や上顎をなぞった。
まるで不慣れな女のように、ルチアの舌はただぎこちなく逃げるばかりで、話にならない。唾液を飲み下すこともできず、唇の端からだらしなく零していた。
「どうした。兄を誘惑したように、私のことも誘惑してみろ」
声に冷笑を乗せ、再び唇を塞いだ。
そうだ。この女は、兄亡き後男を連れ込むようなふしだらな女ではないか。だったら、その相手が自分でも何ら問題ないはず。
普段の冷静なアレクサンドルならそんな驕った考えを抱くような自身を嫌悪しただろう。だがルチアにとっては不幸なことに、今この時、アレクサンドルは酩酊しており、まともな判断力を完全に鈍らせていた。
掌で乳房を覆い、指を肌に食い込ませる。小ぶりながらも若い弾力と張りが、柔らかな手応えを返した。
「んっ、んっ……」
「ほら……尖ってきたぞ」
揶揄するように言い、指先で乳嘴を弾く。先ほどまで柔らかかったはずの薄紅色のその部分は、徐々に芯を持ち固くなり始めていた。
「いや、やめて……!」
「くどい。王に逆らうつもりか」
権力を誇示することなど唾棄すべき行為だと思っていたのに、どうしても彼女の抵抗を封じ込めたいという気持ちが、そのように卑劣な言葉を吐き出させる。
この国で王は絶対権力者だ。逆らう者の首を刎ねることも、拷問することさえできる。そのことを、王の寵姫だったルチアが知らないはずはない。
身を竦ませ、かたかたと震える様子に溜飲を下げる。それと同時に再び苛立ちを覚えた。やはり、ただの気弱な女だ。とりたてて姿形が美しいだけの。
「兄はこの貧相な身体のどこに惹かれたのだろうな。何か技でも持っているのなら、私を愉しませてみせろ」
「あ……、あぁ、や……」
ぐにぐにと胸の先端を指で押し潰し、固くなったそれを引っ張り上げる。何度もそれを繰り返している内にその場所はすっかり熟れて充血し、野苺のように真っ赤になった。
ぬるりと舌を絡ませ、口内に収める。
唾液で温かく濡れた舌に包まれる感触は、女にとっては堪らない心地だっただろう。
「……っ、ん、あぁ……っ」
ルチアが腰を軽くくねらせ、悩ましげに眉を寄せる。白魚のような手が宙を泳ぎ、空を掻いた。
アレクサンドルは酷薄に嗤う。
「それらしい表情になってきたではないか。……そうだ、存分に楽しめ。男の下でよがるのがお前の存在価値なのだから」
「あ、あ……、そんな……」
「そんなことはない、とでも言うつもりか? これまでさんざん、兄の寵姫として恩恵を受けておきながら」
ルチアが大きく目を見開いた。
アレクサンドルは知っている。
兄がここ数年、昼夜問わず毎日のように彼女の許を訪れていたことを。豪華なドレスや、宝石類を頻繁に贈っていたことを。この女が頻繁に仕立屋を呼びつけ、大量の衣服を作らせていたことも、帳簿を見れば明らかだった。
ディミトリは賢王であったため、誰も面だって批難することはなかった。けれど内心では、思っていたはずだ。異国から、人質として寄越された姫にうつつを抜かすとは……と。
尊敬する兄を誑かした悪女を赦すことなどできない。恥辱の限りを尽くして弄び、飽きたら捨ててやろう。そんな、残酷な考えさえ浮かんだ。
ルチアの青い瞳が、アレクサンドルを見る。縋るようなその視線に罪悪感を刺激されそうになり、すぐに否定した。—このあどけない顔に騙されるな。腹の底は闇よりも黒い女だ。
「この毒婦め。義姉上から兄上を奪い、嗤っていたのだろう」
怨嗟に塗れた声で独り言のように呟きながら、乳嘴を舐る。そして下着の際から指を侵入させる。微かに濡れた音が立ち、指に粘着質な液体が絡みついた。
「は、あぁ、いや……、おやめください、陛下……」
制止するルチアを無視して指を侵入させれば、そこは酷く狭苦しく、しばらくの間、男を受け入れていないことが知れた。
「兄が亡くなってから、男を連れ込んでいると聞いていたが……。大層粗末なものしか持っていなかったようだな?」
薄く笑い、下卑た言葉と共に指を引き抜いたアレクサンドルは、その指をためらいなく口に含んだ。
信じられないという顔をするルチアの前でそれを舐め、唾液で充分に湿らせ、再び蜜口へと挿入する。
潤いが増した分、先ほどより幾分か動かしやすい。前後させ、柔い肉壁を擦り立てる。
「ひ、ぅ……」
唾液だけではない別の液体がアレクサンドルの指の動きを助け、滑らかにしていく。
まだ少しきつかったが、二本目の指を突き入れれば、ルチアはぽろぽろと涙をこぼしながら首を横に振った。
「いや……いや……」
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