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異世界トリップして強面騎士隊長の若奥様になりました!?

立花実咲 / 著
えとう綺羅 / イラスト
ISBNコード 978-4-86669-029-2
サイズ 文庫
定価 713円(税込)
発売日 2017/09/15
レーベル ロイヤルキス

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内容紹介

可愛い文系美女と野獣騎士の契約結婚?
高校3年生の百合はある日、西洋風の豪華装丁本の不思議な力によって放り出された異世界で、謎の黒装束の男たちに襲われる。危機を救ってくれたのは強面騎士団長ディートだった。異世界トリップした原因を追究するため、侯爵の爵位をもつディートと契約結婚することに!! 仮初夫婦として参加した舞踏会で媚薬を盛られた百合は、淫らに乱れて激しくディートを求めてしまい…。現実世界で孤独だった百合は、ぶっきらぼうだけど寄り添ってくれるディートに心も純潔も奪われて?ウエディングラブ
★初回限定★
特別SSペーパー封入!!

人物紹介

新山百合

本好き文系少女。高校三年生。
少し厄介な特殊体質を持っている。

ディート・ヒュルグナー

王立騎士団隊長。

強面で不機嫌そうだけど本当は…。

立ち読み

「……んっ」
 間近に、ディートの仰天したような顔が見えた。ディートが倒れてきた反動で、唇同士が触れ合ってしまったらしい。
「す、すまない。いや、しかし、今のは……その」
 慌てふためいたようにディートは唇を離し、百合からも離れようとした。けれど、百合はそうさせたくなくて彼の首に腕を巻きつけた。
「謝らなくていいです。そんなにいやですか?」
 感情の昂ぶりが止まらない。声が涙で震えてしまう。
「そうは言っていない」
「じゃあ、謝らないでください。離れないでいてください」
 わがままを言っているという自覚はあった。なんて大胆なことをしているのだろうという気持ちもあった。
 でも、それ以上に離れたくなくて必死だった。きっとお酒が入っていなかったら、ここまで言えなかったと思う。どうせなら、お酒のせいにして、言いたいことを言ってしまいたい。そんなふうにまで考えてしまっている。
「ディート様……もっと……抱きしめてくれませんか」
「なっ、ユリ……さっきから、なんのつもりだ」
「わかりません。でも……ひとりになりたくないんです……ディート様に側にいてほしい」
 自分が自分ではなくなりそうで怖い。だから、ひとりにしてほしくない。心細くて、人肌恋しくて、どうにかなってしまいそうだった。
「お願い、です……ディート様……私……っ」
 必死に縋りつくと、ディートは困惑しつつも、おかしいと訝しんだ顔をした。
「その熱っぽい瞳……正気のおまえではない。さては媚薬の類でも、盛られたか?」
 ディートはチッと舌打ちをする。
「仕込んだのは、カールだな」
 と低くつぶやいて。
「びやく?」
 すぐにはピンと来ない。ぼうっとする思考の中に、カールが舞踏会のために飲んでおくのがマナーだと言っていたことが蘇ってくる。気分を落ち着けるためのものだと説明を受けたことを話すと、ディートは頭を振った。
「あいつの言うことは信用ならない。まったく、余計なことをしてくれたものだ」
 額にかかる髪をかき上げるようにして、ディートはため息をついた。
「今のおまえは正気じゃない。落ち着くまで側にいよう」
 百合はホッと胸を撫で下ろす。と同時に、耳の側で感じるディートの声や、触れ合うぬくもり、身体の重さが心地よくて、もっと彼を側に感じていられたらという欲求がこみ上げてくるのをふつふつと感じていた。
 自分の中に眠っていた、秘められた甘い欲望が、たちまちこみあげてきそうになる。
「……はぁ、ディート様」
「水は要らないのか?」
「ん、いいんです。側にいてください」
「わかった。側にいるから、身体を休めるといい。他にしてほしいことはあるか?」
 仰向けになった百合を見下ろしながら、ディートは髪をなでてくれる。
 もっと抱きしめてほしい。その声を聞いていたい。触れてほしい。さっきみたいに唇を重ねてみたい。
 気づいたら百合は自分から抱きつくようにして、ディートの唇を奪っていた。
「な、んっ……!?」
 ディートの声がやたら遠くの方に聞こえた。
(ああ、なんてことをしているの。ほんとう、私じゃないみたい)
 夢中で彼の唇に吸い付くと、ディートがなんとか百合をなだめるように引き離そうとする。
 百合はそれでもディートの耳にキスをして、首筋に唇を寄せ、胸を押し付けるようにねだった。まるで動物の本能のように、自分の意思などを無視して、勝手に身体が動いてしまう。
「……っ……やめないか、ユリ」
「はぁ。……はぁ、ディート様……離れちゃいや……」
 欲望のままに動けばいいと、脳が司令を出しているようだ。それに抗おうとすればするほど、欲求はどんどん高まるばかり。あちこちが敏感になっていて、激しい疼きが止められない。
「離れるつもりなどない……とにかく、頼む。正気に……なってくれ」
「……ん、……はぁ」
「っ……耳の側で、そんな誘惑を……するもんじゃない。私が、男だということを、忘れているんじゃないのか。あまりに挑発すると、おまえをこのまま襲うことだってできるんだぞ」
 そういうディートの声はちょっと怒っていた。
「いいです。触って、くださ……い」
「何を言っている。正気になれ」
「だって、そうじゃないと、おかしく……なっちゃうの」
 すすり泣く百合を、ディートはなだめようとして髪をなでてくれる。でも指先ひとつ肌に触れるだけで、感じてしまう。その激しい快感がほしくてならないのだ。
「やはり、媚薬に違いないな。身体はどうなんだ。辛い、のか?」
 百合はううんと首を横に振る。
「ただ、もどかしくて……身体の奥が疼いて、落ち着きません」
「参った。媚薬の効果を抜くには、どうすべきか。酒を抜くときと同じように、水をたくさん飲んで、醒ますしかないと思うんだが……」
 ディートが困惑したように呟く。その間にも、百合は自分の身体が興奮していくのが止められない。彼に自分の昂ぶっている場所を触ってほしくてたまらないのだ。
「どんどん、なにかが……くるの。身体が、熱いわ……私、おかしいみたい。じんじんして……はぁ……どうしたらいいの」
 ドレスの布地を押し上げるように、胸の先がツンと勃ちあがって主張していた。そこを弄られたくて、下腹部のあたりがうずうずとしてくる。じわっと濡れる感触がした。
「……はぁ、ディート様、……」
 こんなの初めてだった。今まで男性に抱かれた経験などないのに、彼にめちゃくちゃに抱かれたい気持ちでいっぱいになってきてしまう。
「ドレス、脱がせて……はぁ、はぁ……触って、くださ……い」
 自分で何を言っているかもわかっていない。本能のままに口が滑ってしまう。
「ユリ、落ち着いてくれ。それは……できない」
 戸惑うディートの声が聞こえてくる。わがままを言ったらいけないのに、それでも彼にしかしてほしくない。
「はぁ……はぁ、お願いです。ディート様、触って、指でいじって……ほしいの」
 下着がぐっしょりと濡れて、じんじんと甘い熱を孕ませている。ぐちゅぐちゅに弄ってほしくてたまらない。
「いじわる、しないで。あ……きらわない、で」
 こんな体験は初めてだし、こんな淫らな自分は知らない。自分が自分でなくなりそうで怖い。
「くっ。こうなったら、放っておく方が気の毒なんだろうが……だが、しかし私がこんな不埒な真似をしては……」
 煩悶を繰り返すディートに、百合は再び懇願する。
「あ、……はぁ、ん……お願い、です……ディート様」
「……っ、どうなっても知らんぞ」
 ディートの無骨な手が百合の乳房を大胆に揉み上げた。
「あっん……」

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