書籍詳細
鳥籠の中の愛玩人形 〜若き伯爵の一途な愛〜
ISBNコード | 978-4-86669-129-9 |
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サイズ | 文庫 |
定価 | 754円(税込) |
発売日 | 2018/07/13 |
レーベル | ロイヤルキス |
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内容紹介
人物紹介
ビアンカ・ブラン
伯爵家に生まれるもアルビノのため16歳で見世物小屋に売られる。
2年後レオナルドに買われた。
レオナルド・グラヴィーナ
伯爵家当主。ビアンカを買い取ったのには理由があって!?
立ち読み
コンコンッとノックが鳴り響き、ビアンカの体がびくっと跳ね上がった。
軽く噛んでいた指先をさっと離し、扉に意識を集中させる。
まさか、こんなわたくしでもいいと思うような方がこの世にいるなんて。
かぶりを振り、ビアンカは今考えていることを払拭させた。
いえ、そのようなこと、あるはずない。ただ、単にわたくしを買った理由は物珍しいから。それだけのこと——。
「エレナなの?」
きっと、侍女のエレナだわ。そうに違いない。
指先がドアノブに触れたそのとき——。
「私だ」
低い声が、扉越しにビアンカの鼓膜に触れた。
「……っ……」
思わず目を見開いて、ビアンカは唇を噛みしめる。
まさか、いえ、そんなまさか……。
「レオナルド……様?」
声が震えた。激しく動揺しているのが自分自身でもわかった。
「早くここを開けろ」
「は、はい! ただいま」
慌ててビアンカは鍵を開け、扉を開く。同時に、レオナルドの姿の艶っぽさに驚き、胸が高鳴った。
澄んだ青い瞳、そして光り輝くような金色の髪。ブラウスの釦が外れ、その胸許ははだけている。逞しい胸板がちらりと露わになり、一瞬で目を奪われてしまった。
目のやり場に困ってしまうと感じたビアンカは、頬を朱に染め、すかさず俯き、開けた扉を思わず閉めかけてしまったが、レオナルドの腕がそれを阻止した。
「何故閉めようとする?」と苦笑いのレオナルド。
くすっと笑みを零した表情を見て、さらにビアンカの頬が赤くなる。
「も、申し訳ございません!」
「……部屋に入っても?」
「ど、どうぞ!」
扉を開け、レオナルドを中に招き入れる。ゆっくりと部屋の中へ入ってきたレオナルドは、
窓の近くにある椅子へと腰を落とした。天鵞絨の生地を一撫ですると、木のひじ掛けに手をかけた。
「寝ていたか?」
ビアンカは顔を横に何度も振り「起きておりました」と小さく呟いた。
「そうだろうな。赤いドレスのままだ」
次いで、体を前のめりに倒し、問いかける。
「ドレスを脱ぐことも忘れ、どんな考え事をしていた?」
「え?」
「今後のことか? また牢へ閉じ込められるとでも思っていたのか? それとも……私が来るのを待っていたのか?」
さらりと並べられた言葉に、ビアンカの心情は追いつかない。
「後で来いと言ったはずだ。私をここへ来させたという……そういう何か目論見でもあるのか?」
「そ、そんなことはございません!」
「なら……何故来なかった?」
レオナルドは立ち上がると、ビアンカに近づきそっと手を伸ばした。俯いたままのビアンカの顎をくいっと持ち上げ、瞳を逸らさない。
真っ直ぐと見つめる視線。あまりにも美しすぎるその姿と瞳に、ビアンカは自分の惨めさを痛感した。己の体や瞳の色が違いすぎて、顔を背けたくなり、答えを待つ彼の顔を見ることはできない。
「目を逸らすな」
「わたくしの姿など……伯爵様のお目を汚してしまいますわ」
「瞳や肌の色など多種多様だ。お前の赤い瞳は初めて見るが……」
ふわりとビアンカの体が浮いた。軽々と持ち上げられ、驚きの声を上げてしまう。
「きゃっ! な、何をなさるのですかっ?」
「レオナルド……だ。ビアンカ」
見上げられた瞳と名を呼ぶ甘い声色に、ドキッと胸が高鳴った。抱きかかえられたままの腕から、彼の熱が伝わる。
「どうかしたか?」
「い、いえ。その……こんなにも名前を呼ばれたのは初めてでございます」
「名前をあまり呼ばれたことがないというのは珍しいな」
「このような容姿でございますから、ずっと……人知れずそっと暮らしておりましたので」
「本当ならば、すでに婚儀を交わし嫁いでいる年頃であろう。ずっと、閉じ込められていたというわけか?」
「はい。もうずっと。十八になり、こちらへ来るまでは——」
ビアンカの言葉に、レオナルドの顔が少しばかり曇った。
「あの、そのっ……悪いことはしておりませんし、魔女でもございません! ただ……このような姿で生まれたもので……」
「その体は……誰にも触れられていないと?」
「ええ」
「心に誓って言えるのか?」
「言えますわ! この心に誓って言えます。わたくしの体は……その……」
強く言い切っていたビアンカだが、突然恥ずかしさが増したのか、口をもごもごとさせて言葉を濁らせた。
真っ赤になった顔を見て、レオナルドはフッと笑みを見せた。
「真っ白なままだと?」
「……え、ええ。真っ白なままでございます」
助け舟を出してくれたのか、レオナルドの言葉にビアンカは戸惑いながらも頷いた。
「そうか。では……たしかめるとするか」
「えっ? た、たしかめるというのは……?」
レオナルドはビアンカの体を抱えたまま、ベッドへと向かった。
「レ、レオナルド様っ?」
「お前を買ったということは、お前を私のものにする為——」
そのままビアンカの体をベッドへと沈ませる。
「それしかないだろ?」
ぎしりと音を立て、レオナルドの体がビアンカに覆い被さった。
「それとも、ただ眺めるだけ——。そう思ったのか?」
艶のある笑みを浮かべ、ネクタイを片手で外すレオナルドの姿に、胸がざわざわと騒ぎ始める。
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