書籍詳細
僕の愛しい妻だから
ISBNコード | 978-4-86669-135-0 |
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サイズ | 文庫本 |
定価 | 754円(税込) |
発売日 | 2018/08/06 |
レーベル | チュールキス |
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内容紹介
人物紹介
井上 翠(いのうえ みどり)
通販会社に勤める。
年下幼馴染の春臣に思いを寄せる。
井上 春臣(いのうえ はるおみ)
井上興産の御曹司。
翠に契約結婚を持ちかける。
立ち読み
「スイさん……」
自分でも蕩けるような甘さだと思う声で、翠の名前を呼ぶと、彼女の肌が薄紅に染まった。
その首筋や鎖骨、胸元にいくつも口づけの痕を散らす。
まるで宝物に触れるように唇や指で、翠の身体の形を確かめるように辿る。
春臣の愛撫に、翠は時々、ひどく焦れったそうに身体を浮かせ、眉間に皺を寄せた。
指の腹で柔らかな肌に触れられるたび、身体の内側からとろりと炙られているような愉悦に支配される。翠の肌は滑らかで、まるで春臣の指に吸い付くようだった。
—もっと強く、触れたい。
そんな淫らな欲求が湧き上がる。もどかしさに身体が熱を上げる。
「ん……あ……やぁ!」
軽く啄むような口づけを繰り返し、右胸のふくらみの付け根を軽く押した瞬間、翠が堪えきれないように身体を捩った。
「痛い?」
反応の大きさに強く触れ過ぎたかと心配で問えば、翠は身体の熱を逃すように、大きく息を吐き出した。
春臣の身体の下で、もぞもぞと翠が落ち着かなげに身体を動かす。
「……ううん……なんか……ちょっと……」
「くすぐったい?」
「わ、わかんない……なんか、ぞわぞわって……」
「ふーん?」
痛みともくすぐったさとも違う。さりとてはっきりと快感とも言えない。
感覚をうまく言葉にできずにもどかしそうな翠の様子に、春臣は瞳を眇める。
翠の反応を観察するように見下ろしていた春臣は小首を傾げると、彼女の腕を掴んだ。
今度は指ではなく唇で、先程翠が反応した乳房の付け根にきつく吸いつく。同時に尖りきった胸の頂を指の腹で擦る。
「あ、やぁ……ん!」
翠が甘く上ずった声を上げた。先程よりも強く背筋を震わせている。
曖昧だった感覚が、強烈な愉悦へと変わったのが、触れている春臣にもはっきりとわかった。
翠の反応を確かめるように、柔らかい皮膚に軽く歯を立て、尖らせた舌で舐る。
「いや……っ! そ……れ……!」
陸に上げられた魚のように翠の身体が跳ね上がった。
「スイさんはここが感じるんですね……」
新しく見つけた翠の弱点に、春臣は楽しくなる。
自分の中のスイッチが押されたような気がして、翠を見下ろす。
涙で潤んだ翠の瞳に映る自分は、悪辣な男そのものの顔で笑っていた。
こうして肌を重ねるようになったのは最近だ。まだ数えられるほどの時間の中、見つけた翠の弱点。
触れるたび感じるままに声を上げる翠が愛おしくて、苛めたくなる。
いつだって大切に、慈しむように触れたいと思うのに、自分の中で不意にスイッチが切り替わるように翠を泣かせたくなる。
快楽に濡れて乱れる姿を想像するだけで、心も身体も高揚する。
子どもの頃からずっと一緒にいて、知らないことなど何もないと思っていた妻の見たこともない一面を知るたび、春臣の心は翠に惹きつけられる。
もっと知りたいと思う。これまで春臣が知ることのなかった翠の色々な顔を—。
「本当に嫌?」
探り当てた翠の弱点に執拗に口づけながら、問う。肌に直接落とされた意地悪な質問に、翠がシーツを握りしめた。言葉よりも雄弁な翠の反応に春臣は、ひっそりと笑う。
「ねぇ、スイさん教えて?」
年下夫のあざとさで尋ねてみせれば、項の髪が引っ張られた。
「痛い」
震えてうまく力の入らない指だ。本当はたいして痛くもない。だが、わざとらしく顔を顰めてみせれば、涙目で睨み付けられる。
その泣き濡れた瞳がどれだけ自分を煽るか、この年上の妻は知らない。
快感に震えるその唇に、自分をせがむ言葉を言わせたくて、仕方ない。
「意……地……悪……!」
どうやら苛め過ぎたらしい。翠の眦から涙が流れて落ちた。その涙がきれいで、焦りと同時にもっと見たいという欲求が湧き上がる。
「苛めているつもりはなかったんですけどね。スイさんが可愛いから……」
そんな言葉で騙されないと睨み付けてくる翠の鼻先に、春臣はキスをする。
いくつものキスを顔に落として、唇を重ね合う。怒っていた翠の身体から力が抜けていく。
浮き出た鎖骨、臍のくぼみ、脚の付け根、ありとあらゆる場所に、指と唇を触れさせ、反応が強くなる場所には、特に執拗に愛撫をほどこす。
身体が疼くのか、翠がうずうずと腰を捩る。
だが、春臣は肝心の場所には触れていない。濡れて蜜を零す場所はずっと放置したたままだ。
触って—。
眼差しだけで訴えかけてくる妻の艶姿に、ひっそりと笑む。
翠の丸みを帯びた膝の上、ふくらはぎ、足首、足の甲に口づける。
「今日のパーティー」
「う……ん? ……パーティー?」
再び唇で脚の形を辿って膝に口づけながら春臣が言葉を紡ぐと、翠は快感に朦朧としたまま首を傾げた。
「スイさんの脚、きれいで触りたいってずっと思ってた。あのワンピースよく似合ってた。スイさんの足の形をきれいに見せてくれてたから、早く脱がせて触りたいってパーティーの間ずっと思ってた」
「ばか……」
なじる言葉すらも甘く感じて、春臣は笑みを深くする。それを見た翠の全身が朱に染まって、思わずといったように翠が笑った。全身に入っていた力が抜けたタイミングを見計らって、春臣が翠の脚を大胆に開いた。
「あ……ぁ……」
開ききった脚の間に顔を埋めた春臣は、脚の付け根のきわどい場所に舌を這わせた。大腿の柔らかい皮膚に赤い花が咲く。
大腿を辿った舌をそのまま花芽に這わせて、秘所を肉厚の舌で割り開く。
「く……ぅう……」
蜜を零し続けたその場所にようやく触れたせいか、与えられた直接的な快感に、翠が大きく背を撓らせた。
堪えきれないような甘い吐息が零れて落ちる。翠はシーツをきつく握りしめた。
焦らされて、ずっと身体の奥で燻っていた快感が、春臣の唇の愛撫で一気に燃え上がる。
執拗なまでにその場所を濡らして、柔らかく解す。
生々しく恥ずかしい行為に、翠は羞恥を募らせ、逃げるように何度も腰を捩らせる。
「ぁ……あ……だぁ……め……!」
その赤い唇から零れる声が甘く高くなる。我慢できないというように、指先を口元に持っていった。疼く指先に歯を立てる。可愛い声が聞こえなくなって、春臣は不満げに秘所から口を離す。翠は胸を喘がせ、勝手に浮き上がる腰を淫らにうねらせている。堪えきれないといわんばかりに指をきつく噛む。
その姿に春臣は息を呑む。きれいで可愛くて、もっと泣かせたくなる。
春臣は再び翠の秘所に舌を忍ばせる。淫らな水音を立てて、舌が出し入れされるその場所が、物足りないと蠕動を繰り返している。
「お……臣く……ん……ね……おね……がい……」
快楽に理性が蕩かされた翠が、春臣に懇願する。
「欲しい?」
答える男の声は甘く歪んだ。顔を上げて翠の目を覗き込んだ春臣は、わざと見せつけるように舌で蜜に濡れた唇を舐める。その艶めかしい仕草に、翠は見てはいけないものを見たというように瞼を強く閉じた。
そうして、快感に蕩けていた身体をぎゅっと小さく丸めた。
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